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みえの文化びと詳細

地域 東紀州地域
名前 桐村 英一郎

桐村 英一郎 さん
桐村 英一郎 さん

プロフィール 昭和19年生まれ。熊野市波田須町在住。
昭和43年 朝日新聞社入社。ロンドン駐在、名古屋本社経済部次長、大阪本社経済部長、東京本社経済部長、論説副主幹を歴任。
三重県立熊野古道センター理事
国際熊野学会委員
海の熊野地名研究会理事
著書に、『もうひとつの明日香』『大和の鎮魂歌』『ヤマト王権 幻視行』『熊野鬼伝説』『イザナミの王国 熊野』など。
記事  私は、生まれも育ちも東京で、現役時代は経済畑、そして東京勤務が長かった新聞記者でした。
 中学のとき図書館で見た『空から見た古墳』という写真集が古代史への興味のきっかけ。入社後は仕事に追われ忘れていましたが、大阪本社経済部長時代に思いがよみがえり、週末に古代の天皇陵など大阪・奈良の古墳めぐりをしたのです。そして、定年後は大都市を離れ、古代史に挑戦しようと思うようになりました。
 2004年末の定年後、「歴史が厚く、人が少ない」奈良県明日香村に借家し、6年ほど夫婦で暮らしました。その間に新聞や雑誌への連載を3冊出版しました。3冊目の『ヤマト王権幻視行』は、王権の創始者たちを海の民と考え、彼らが内陸で基盤を築くため「水平的思考から垂直的思考へ」宇宙観・世界観の枠組み転換を図った、という空想を交えた物語です。その取材で熊野に足しげく通ううち、その魅力にとりつかれ、2010年秋に今の熊野市波田須町に再度引っ越してきた、というわけです。
 私の家は熊野灘を見下ろす斜面に建っています。水平線に大型船が行き交うあたりに世界最大の潮流・黒潮が流れています。空の高さ、海の蒼さ、森の深さ、それらがもたらす癒し。熊野の魅力はいろいろ語られますが、私は自分が「黒潮に惹かれて」やってきたと感じています。
 自宅からほど近い有馬町には花の窟や産田神社など古社があり、一方、熊野三山(本宮大社・速玉大社・那智大社)はそれぞれ有馬と関わりがある。「黒潮」「有馬」「三山」を結び付ける古代史物語を書いてみたい、という想いで執筆したのが『イザナミの王国 熊野』でした。
 東京を離れて何よりよかったと思うのは、友人の範囲が格段に広がったことです。郷土史家、神職、僧侶、農民、林業家など、現役時代は付き合いのほとんどなかった人たちとの交流は、私の世界を広げてくれました。あのまま東京に居たら、会社の延長の交友関係にとどまっていたことでしょう。
 高齢化社会では「第二の人生」をいかに過ごすかが大きな課題です。過密の都市を出て、その対極に悩み自然に恵まれた地で前向きに暮らし、「熊野からの発信」などを通じて少しでも地元のお役にたちたい。そんな気持ちでいます。前歴を生かして「時事英語講座」や「ニュース塾」なども開いてきました。
 大事なのは「自分が楽しむ」ということです。よそからやってくると、見るもの聞くことみんな面白い。そんな新鮮な気持ちで臨み、多様な知識・経験を持つ人たちと意見を交換する。それが何より楽しいですね。
著書『大和の鎮魂歌』
著書『大和の鎮魂歌』
著書『イザナミの王国 熊野』、『熊野鬼伝説』
著書『イザナミの王国 熊野』、『熊野鬼伝説』著書『イザナミの王国 熊野』、『熊野鬼伝説』
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登録日 平成25年9月25日

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