みえの文化びと詳細
地域 | 東紀州地域 |
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名前 | 西牧 達也
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プロフィール | 御浜町在住 画家 1982年 東京都生まれ 2006年 東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒業 [主な展示] 2000年 recollection/東京都千代田区立富士見小学校校庭にて。ドローイング作品 2004年 the crematory project/東京藝術大学取手, 茨城県にて。地下に煉瓦作りの煙突を彫るプロジェクト。 2006年 桐生再演12/群馬県桐生市のアートイベントに参加 2008年 三人展/東京藝術大学音楽学部学生会館展示室 2010年 第28回上野の森美術館大賞展入選 2011年 temporary atelier/CANAL CAFE boutique,東京にて。カフェをアトリエとした展示。 |
記事 |
道の駅パーク七里御浜の壁画事業に企画が採用されたのを機に、2013年2月より東京から御浜町に引っ越してきました。 <御浜町に住んでみての感想は?> 東京に居たときも御浜町に住んでいる現在も、絵を描いていることに変わりはないんだけど、東京は時間の流れが速く、こちらはゆっくりしている感じがしますね。じっくりと腰を落ち着けて創作活動をするにはとてもいい環境だと思います。空気が美味しいとか水が美味しいとか星が綺麗なことなど普通のことに感動します。御浜町尾呂志地区で出る朝霧「風伝おろし」が山を超えて流れてくる様など、普段目に見えない自然のリズムをすぐ近くに感じることができて素晴らしいと思います。 自分の借家のすぐ前には、山からの水が流れてきていて、耳を澄ますと水流音が聞こえてくる。その水が田んぼを潤して米が出来る。そういった自然の大きな繋がりの中に自分がいる感覚があり、とても贅沢だなあと思っています。 この辺りには、いにしえの巨樹が残っていたり、瀧とか、岩々とした山とか、またそれ自体がご神体となっている場所もあったりして、先人達の自然を尊ぶ信心に触れられるような機会がたくさんあることも魅力ですね。かつて熊野古道を歩いた巡礼者が、峠を越えてこの七里御浜のまあるい海にやっとたどり辿り着いたとき、どんな気持ちで眺めたのだろうかと想いを馳せると感慨深いものです。 絵を描くということは身体を使うことです。その身体、五感を澄ますことは大切だろうという気がしてます。たとえば「みる」ということをちょっと考えてみても、それは眼だけの問題ではなくて、音とか匂いとか触覚であったり、記憶であったり、その時の心の状態など、単に「ここからここまでがみるということ。」と区切ることはなかなか難しい。いろいろなものをひっくるめて「みる」ということをしているのだなとあらためて気がつきます。 身体というのも、普段あたりまえのように自分の身体だという意識で日々を過ごしてはいるけれど、それと同じくらいあたりまえのように呼吸もして、排泄もする。つまり、ちゃんとまわりの環境とも地続きでつながっていて、季節や場所によっても、なんとなく嫌な感じがするとか、なんとなく気持ちがいいなということがあるように、実は身体と呼んでいるものの境界は、環境とグラデーションになっていてかなり曖昧なものかもしれない。 あの朝、山からおりてきた水分をふくんだ風は、ちゃんと僕の身体を吹きぬけていった。とすると、もしかして、あの朝霧と僕の身体は実はどこか同じようなものなのかもしれない。大きくてかつ繊細な自然のリズムが感じられるこの場所で、どんな絵ができるのかなと愉しみです。 現在は、七里御浜の海岸沿いの壁画の制作現場まで通っています。毎日、海を見る。キラキラと太陽を反射する日。白く靄がかかって大気と溶け合う日。潮の境目がくっきりとみえる日。ただ、あっけらかんと、水平線が目線の先に見えている。そんな日々の些細な積み重ねの中にこそ、表現とか作品にとっての決定的ななにかがあるような気がします。だから、何気なく散歩をしていたり、ただ風呂に入ったりしているというようなことも、実は直接ではなくとも、どこかで絵につながっているみたいな感覚があるのです。 絵は何処に居ても描けると思われますが、今ここで、この状況とこの感覚だからこそ描ける絵というものがあると感じています。その時々で、それを大切にしながら愉しんでいけたらいいなと思います。 御浜町のさまざまな名所や自然、素晴らしい魅力もスケッチしながら歩きたいですね。 作業風景 作品 |
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登録日 | 平成25年5月23日 |