トップページ > みえの文化びと > みえの文化びと詳細

みえの文化びと詳細

地域 伊勢・志摩地域
名前 佐藤 よし子(さとう よしこ)

佐藤よし子さん
佐藤よし子さん

プロフィール  1979年東京都世田谷区生まれ。志摩市在住。
 ダウン症の人たちの創作のためのプライベート・アトリエ「アトリエ・エレマン・プレザン」で現場に立つ。社会へ繋ぐアートコーディネーターとしても活躍するほか、多くの企画、展示会開催に携わる。
 また、カフェや宿泊施設、アートミュージアムなどの建設を視野に入れた「ダウンズタウン」プロジェクトを進行中。
 著書に『学校つくっちゃった!』がある。

(経歴)
愛農学園農業高等学校を卒業後、同高校の専攻科へ進む。
障がいのある人たちと共に暮しながら農業を学ぶ「信州共働学舎」で、1年間の専攻科実習をする。
文化学院文学部(現在は総合芸術学科文芸コース)に進学・卒業。
文化学院在学中より「アトリエ・エレマン・プレザン東京」にて版画クラスを手伝う。
2002年〜2011年 「エコール・エレマン・プレザン」の立上げと運営に携わる。
2006年 多摩美術大学芸術人類学研究所 特別研究員となり中沢新一氏らとともに「ダウンズタウンプロジェクト」を立ち上げる。
2012年 志摩市へ移住。
2014年 合同会社「エレマンの気まぐれ商店」を立ち上げる。
2017年 「ダウンズタウンプロジェクト」事業地(カフェ、ギャラリー、宿泊所として整備予定)に自らも居を移す。
記事  三重県総合文化センター内にある三重県立図書館のエントランスを通って閲覧室へ向かうと、「アトリエ・エレマン・プレザン」のダウン症作家たちが描いた色鮮やかな作品が来館者を出迎えてくれます。2013年2月に開催された『アトリエ・エレマン・プレザン宝もの展』のために志摩アトリエで書き下ろされた12点の作品です。大きなカーテンスクリーンに描かれた大胆な絵が心に響きます。

 「父(佐藤肇さん)と母(佐藤敬子さん)が開いた『アトリエ・エレマン・プレザン』に来ていたダウン症の子どもたちに囲まれて育ちました。機嫌よくニコニコ笑っている彼らと一緒に過ごす時間がとにかく楽しくて。ダウン症は障がいという概念を持たないまま、この世界が当たり前と思って育ちました。」と話すのは志摩市に拠点を置いて活躍しているアートコーディネーターの佐藤よし子さんです。

 佐藤さんは、高校時代を愛農学園農業高校で学んだ後、信州共働学舎へ進みます。障がいを持つ人達と自然の中で共生しながら、専門分野の酪農を活かし、早朝は牛の世話を担当します。その後文化学院へ進学し、文学部(現在は文芸コース)に在籍しながらも芸術学部(芸術コース)の科目を多く選択し、幅広く学びます。20代の頃は両親と同じ芸術の道へは進まないと反発していました。しかし、ある時期から、ダウン症の作家たちと社会をつなぐ人(アートコーディネーター)の役割がますます重要になってくると意識するようになります。両親がダウン症の人たちの才能を制作活動で引き出す役目を担い、佐藤さん自身はダウン症の人たちの柔らかな感性を独自の文化として社会に発信し伝えていくことが役割だと考えました。学生時代から積極的に「アトリエ・エレマン・プレザン」の版画クラスを手伝うようになり、卒業と同時に自分のクラスを立ち上げました。

 長男出産を機に志摩市に移住します。あれもこれも食べられない「マルチ型」アレルギー児の子育てが続きました。自身が状況を周囲に理解されにくい環境に置かれてみて、「マイノリティ側の子どもを育てる保護者の方々の気持ちが理解できるようになったと思います。寄りそうことの大切さも再認識しました。」と話します。子育てをとおして物事の捉え方が変化していく中で、ダウン症の人達の感性を発信する場「ダウンズタウンプロジェクト」への思いは一層強くなりました。

 ダウン症の人たちと自然に出会う場所を作りたい、ダウン症の人たちが中心となり彼らの文化発信地となることを目指す場所を作りたいと、2006年からダウンズタウンプロジェクトが始まりました。まずは、支援者を募る目的もあり、展覧会やアパレル企業とのコラボをとおして、ダウン症の人たちの作品が持つ力を知ってもらう機会を作り、若い世代に繋げることに力を注ぎました。
 2017年に入ってからは、英虞湾のほとりにあるアトリエから車で5分の場所に、大きな古民家を借りることになりました。「県外からの見学者が多く、夏になると全国の学生を交えてダウン症の人たちと合宿をしているアトリエでは、長年ゲストハウスが欲しいという希望を持っていました。と言っても、現段階では大げさなものではなく、私たち家族がここに住みながら様々な状況のお客さまや、ダウン症の人たちが泊まりたい時に泊まれるような、温かい場所にしていけたらと思っています。地域の人や来て下さった方同士の交流の場になると良いなと思うので、後々カフェとしても使用出来るように、現在整備を進めているところです。今年の春休みは、すでに6組のお客さまからの訪問希望の連絡があり、今慌てて引越しの片付けをしています。」と笑います。
 ダウン症の人たちと長年かかわってきた経験と、アートコーディネーターとしてダウン症作家たちの作品を様々な場所で紹介してきた経験の両方を生かして、世界で初めての「ダウンズタウン」実現に向けて活動を続けています。
アトリエ・エレマン・プレザン 展示会風景
アトリエ・エレマン・プレザン 展示会風景
「ダウンズタウンプロジェクト」構想案の図
「ダウンズタウンプロジェクト」構想案の図
問い合わせ先 【住所】〒517-0603 三重県志摩市大王町波切2221-18(志摩アトリエ)
【電話番号】0599-72-5052
e-mail aep@w7.dion.ne.jp
ホームページ アトリエ・エレマン・プレザン
取材機関 南勢志摩地域活性化局
地域活性化防災室 総務生活課
電話番号:0596−27−5111
E-mailアドレス:mbunka@pref.mie.jp
登録日 平成29年3月23日

戻る

ページのトップへ戻る