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基本構想(2002.1.9)
芭蕉生誕360年を契機として行うイベント
「生誕360年 芭蕉さんがゆく 秘蔵のくに 伊賀の蔵びらき」事業
基本構想の策定について
 急速に進展し、社会の変革を求めるIT・デジタル化が、情報の発信や共有化を発展させた反面、私たちにストレスなどの負の影響をもたらしつつある今こそ、感情や情緒を育んでいくことが重要です。感情や情緒を育む糧、それが文化です。文化の価値や重要性がここにあります。
 そのため、三重県では、「俳句のくにづくり」を進めているところですが、俳聖芭蕉の生誕360年にあたる2004年には、「こころの豊かさ」づくりを推進するとともに、「もの」から「こころ」への転換と「文化」の重要性を再認識するための事業を、県をあげて実施することとしています。
 この事業を、俳諧の世界の改革者でもあり、「こころの豊かさ」の体現者でもある芭蕉を生み、育んだ伊賀の地から提案し、伊賀の地をフィールドに実践するため、その根幹となる基本構想の検討を「2004年に実施する伊賀からの発信事業(仮称)基本構想検討委員会」にお願いしてきたところですが、6回にわたる意見交換を基に次のとおり基本構想を策定しました。
事業名 メインテーマ サブテーマ
事業名 生誕360年芭蕉さんがゆく 秘蔵のくに 伊賀の蔵びらき
 2004年は、伊賀の地に生まれた俳聖芭蕉の生誕360年にあたる年です。「360」は、また、全方位や原点回帰を示す「360度」を表しています。
 芭蕉は、生涯を旅に生きた旅の詩人でした。「動」の芭蕉のイメージを「ゆく」と表現し、新たな時代の伊賀や伊賀の地域資源が芭蕉のように全国に情報発信されることを表しています。「秘蔵のくに」は、藤堂高虎のことばで、歴史文化などの宝物が大切に伊賀の地に収められてきたことを表しています。
メインテーマ ひと・たび・しぜん
 芭蕉や三重、伊賀から導きだされるキーワードは、「ひと・たび・しぜん」であると考えます。また、これらは、現代社会において人々に「癒し」や「安らぎ」をもたらす核となるものです。
サブテーマ 今、芭蕉のくにから「こころの豊かさ」を求めて
 現代社会や現代の人々が求め、また、この時代に芭蕉や「ひと・たび・しぜん」から何が得られるかを考えたとき、それは「こころの豊かさ」であると考えます。
基本理念
 豊かなる歴史文化を今に伝える三重県の伊賀地域は、かつて藤堂高虎によって「秘蔵のくに」と称せられた。伊賀という蔵の中には、歴史文化のみならず、自然、伝統工芸、食など様々な宝物が大切に収められてきた。
 1644年伊賀の地に生まれた俳聖松尾芭蕉は、俳句を芸術の域にまで高めた世界に誇る芸術家であり、人々から畏敬と親しみを込めて「芭蕉さん」と呼ばれ、伊賀の人々のこころの中に今も生き続けている。
 移ろいゆく時の中で、変わることなく評価され続けてきた芭蕉とは何であろうか。
 紀行文「笈の小文」で「造化(自然)にしたがい、造化(自然)にかえれ」と語っているように、芭蕉は自然との合一を求めようとしたのである。このことは、不変性と様々な変化を一つのものと見る「不易流行」という芭蕉の俳風にも表れている。
 伊賀、そして三重の魅力を360度の全方位に向けて総合的に発信するとともに、芭蕉を通じて全ての人々が自らを見つめ直し、各々の自然観や宇宙観を新たに創造していく機会として、芭蕉生誕360年にあたる2004年にこの事業を実施する。
 現代が望んで止まない「こころの豊かさ」も、そこに表れてくるはずである。
開催目的
 「芭蕉」、「芭蕉を育んだ伊賀」及び「伊賀の持つ地域資源」といった伊賀の持つあらゆる魅力が発信資源である。世界に誇りうる芭蕉をとおし、風土や文化といった伊賀そのもの、各地の地域資源を発信する。
 伊賀の魅力を360度の全方位に向けて発信することにより、現代に望まれる「こころの豊かさ」をこの地に描く。
 内にあっては歴史文化や自然を活かした個性豊かな地域づくり・人づくりに繋げ、外に向けては伊賀そのもののブランド化を図る。
情報の発信先
 伊賀を外へ向けて情報発信することは、地域を活かしていくことである。情報発信は地域活性化のためであり、地域活性化は情報発信のためである。
 情報発信の効果を高めるために、情報の受け取り手を @−伊賀びと、A−三重びと(三重県民)、B−賓客(まれ)びと(県外在住者)の3通りに分けた。伊賀をよく知っているか、どのようなおもいを持っているか、それぞれに対しての働きかけはそれぞれに違ったものになるはずである。
 事業は事業をすることが目的になってはならない。何を残すのかが重要である。結果として残るものではなく、意図的に残していくものの設定が必要である。
-情報の発信先とそれぞれに「残すべきもの」-
  1. 伊賀びと −人づくりの仕組み− 
     事業は伊賀地域を中心にして行われる。情報を発信する側にあっても、とりわけ伊賀びとの果たす役割は大きい。
     では、伊賀びとがまず取り組むべきことは何だろうか。
     それは伊賀びと自身がより伊賀を知ることであり、地域づくりに携わる人同士のネットワークをつくることである。
     この事業の推進過程、また事業で得た成果から「人づくりの仕組み」を地域に残し、「伊賀びとのおもい」の実現を図るきっかけにしたい。
  2. 三重びと(三重県民) −県内各地域との相互交流の仕組み−
     北は桑名・四日市から、南は尾鷲・熊野まで三重県は南北に長い県である。特色ある地域の集合体というメリットがある一方、三重県という共通のふるさと意識が持ちにくいというデメリットもある。
     また、経済的にも行政的にも中部圏の影響を受けることの多い三重県の中にあって、「伊賀は関西」という言葉があるように伊賀は関西圏の影響を受けることが多い。
     このような東西の文化の交わる三重県であるからこそ、三重県の文化を更に豊かにするような「県内各地域との相互交流の仕組み」を確立したい。
  3. 賓客(まれ)びと(県外在住者) -効果的な情報提供、情報活用の仕組み-
     来てもらえれば本当の伊賀の良さは分かる。これは豊かな歴史文化や自然に恵まれた伊賀びとの共通の思いであろう。芭蕉や忍者といった伊賀の魅力ならば世界との交流も視野に入れられる。
     では、交流を進めるためにはどうすればよいのか?それには伊賀を知ってもらうこと、すなわちメディアへの登場回数を増やすなど多くの人の目や耳に触れるようになることが大事となる。
     多くの人が集まり、多くの人の話題になる事業を行い、テレビや出版関係、旅行業者とのネットワークを作り、強化し、どのような形での発信が効果的なのかのノウハウを得る。事業終了後も引き続き伊賀がメディアに取り上げられるような「効果的な情報提供、情報活用の仕組み」を確立し、伊賀地域の認知度向上の足がかりとしたい。
※伊賀びと・・・自然人や法人、生活者や伊賀出身者などの区分けにこだわらず、伊賀の生活創造圏づくりに取り組むひと、関心を持ちその趣旨に賛同するひとを「伊賀びと」としている。その伊賀びとが、おおむね2010年度を目標に、「生活圏としての伊賀」のあるべき姿を提言しているビジョンが「伊賀びとのおもい」である。策定にあたっては民・官による委員会を設置、一口提案や地域懇談会など幅広い伊賀びとの意見が十二分に反映されている。

※三重びと・・・上記の考え方を三重県にあてはめ、三重県民をこの基本構想では「三重びと」と呼ぶこととした。

※賓客(まれ)びと・・・もともとは客人、異郷から来訪し、歓待を受けて帰る人の意味。この事業により伊賀を訪れて、伊賀びとのもてなしのこころに触れていただく人を「賓客(まれ)びと」と呼ぶこととした。
基本方針
◎ この事業を行うにあたっては、下記の項目を遵守しなければならない。
  1. 行政の計画を住民と行政協働の組織が実施するものではなく、企画段階から住民が参画するものとする。
  2. 住民、市町村、県の協働による地域をあげての事業とし、既存の事業と新規の事業を有機的に結びつけた事業とする。
  3. 交流範囲は伊賀地域に限定せず、全方位とする。
◎ 個々具体的な事業を考えるにあたっては、次のことが必要である。
  1. 「この地ならではのもの」を設定すること。
    「伊賀ならではの芭蕉」を育てていかなければならない。ふるさとであることの意味を問いかける一方で、「伊賀でないと」の部分を創り、アピールしていく必要がある。
  2. 伊賀らしさを徹底すること
     伊賀には古き良き原風景がある。豊かな自然を持ち、俳句が生まれ、環境文化を体現している場所である。そのような環境演出を徹底し、「伊賀」という雰囲気を創りあげる必要がある。
  3. ソフト事業の充実を図ること
     地域の活性化を図る究極の資源は「ひと」である。そして、地域づくり・ひとづくりを考えるなら、ハードよりソフトの充実を第一義に考えるべきである。そのためには全国の成功した試みを全て真似するぐらいの気概と調査が必要である。
  4. 郷土資産をいかに個人、地域に結び付けるかを検討すること
     地域の人が地域を本当に理解しているのかは各地の共通の課題である。地域の記憶を吸い出して、それを地域で活かして守っていこうという働きかけが大事である。「みなさん、伊賀を、芭蕉を習いませんか」
  5. 従来のホスピタリティを一歩進めて、来訪者へ積極的にホスピタリティを提供すること
     豊富にある伊賀の魅力でも、何もしなくては相手に伝わらない。様々な素材を組み合わせた伊賀を満喫できるコース、すなわち「伊賀定食」と呼べるものの設定や積極的な売り込み、来訪者を迎えるもてなしのこころが必要である。
  6. 広報機能を強化すること
     地域が成熟していくためには外との関わりが必要である。芭蕉をきっかけにして、いかにこの街の魅力を知ってもらうか。また、伊賀をどのような形でアピールしていくかを考える必要がある。
  7. ターゲット層の設定など、マーケティングの考えを徹底すること
     芭蕉や忍者といった伊賀の魅力をみんなが分かっていると安心してはいけない。伊賀地域の魅力を360度の全方位に向けて発信するためにはどういう人に何を、いつ発信するのか、地域別、年代別のターゲット層をどこに置くのかを常に考えていく必要がある。
  8. 体験、体感を創造すること松尾芭蕉を伊賀のどこで、いつ体感できるのか?体験、体感はイベントを作っていく中でのキーワードである。芭蕉を、伊賀を、いかに体験、体感してもらえるかを考えていく必要がある。
開催場所
 情報の受け取り手が異なれば、働きかけも当然異なってくる。発信する側からすれば、効果を上げるためにどのような事業を行うかとともに、どこで事業を行うかも重要である。
 開催場所は基本構想において限定することなく、それぞれの趣旨に沿った場所での開催を考えていくべきである。
開催期間
 情報発信とそれを通じての地域づくり・人づくりとなれば一朝一夕でできることではなく、ある程度の開催期間が必要になる。従来のイベントを参考にすると、具体的には6〜7ヶ月といった期間設定が適当であると思われる。
 新しい事業と従来の行事イベントを組み合わせて一つの事業にすること、芭蕉を象徴とし、芭蕉を中心とした事業を展開することを考えると、伊賀地域及び三重県には欠かすことのできない事業が複数ある。事業の成功にはこれらとの連携が必要である。
 6〜7ヶ月といった期間設定と欠かすことのできない市町村や県の行事イベントから、事業の開催期間を5月〜11月中頃の6ヵ月半程度とすることを提案したい。
基本構成
 三重県、伊賀の全てを情報発信するため、芭蕉をランドマークに伊賀の歴史文化、自然、伝統工芸、食などにテーマを拡げていく。そのためには芭蕉を核とした、事業名称や基本理念を体現した事業と様々な伊賀の魅力を発信する事業から本事業は構成されるべきである事業名称や基本理念を体現した、核となる事業の考え方を下記に提示する。
  1. 芭蕉
     芭蕉が伊賀を情報発信するこの事業の冠になったのは、芭蕉こそが伊賀の象徴であり、伊賀を情報発信する最良の方法だからである。
     基本理念で述べたように、俳聖芭蕉・旅人芭蕉の求めたるところを求めて、それぞれが自らを見つめ直す機会をこの事業で提供する。
     具体的事業案〜これまでの意見交換から
    1. 世界俳句大会
       世界各国の俳句の現状と展望の報告、「ハイク」は世界を繋げるかといったシンポジウム、世界の俳人の作品募集など、芭蕉のふるさとである伊賀の地から世界に向けて俳句の素晴らしさを発信する。
        最終日には「世界俳句宣言」を謳い閉会。
    2. 現代版おくのほそ道 〜芭蕉−おくのほそ道−伊賀
       おくのほそ道、その後に芭蕉が目指した伊勢、ふるさと伊賀を結び円環を描く。おくのほそ道を基に、ふるさと伊賀で芭蕉ワールドに浸るというストーリーを創る。
       具体的な柱としては、円環の道を歩く人を何十人と募り、現代版おくのほそ道よろしく、伊賀へ向かって歩いてもらう。
  2. 秘蔵のくに
     蔵びらきというタイトルにふさわしく、伊賀のいろんなものを掘り下げる。人々の参加を広く促し、限定しない伊賀の自慢をする。幅広い伊賀の魅力に触れてもらい、「秘蔵のくに」と「こころの豊かさ」とを結びつける。
住民参画のあり方
 具体的に何をするのか、それをどのように実現していくかといった部分は地域住民に任せるべきである。
 地域住民が地域を守って活かしていくことが最も大事なことであり、情報の発信主体は住民とならなければならない。その中核は伊賀びとが担うことになろうが、伊賀や芭蕉について何らかの情報発信をしたいという人であり、その趣旨が本事業に合致するのであれば、その人は発信主体たりうる。
 その一方、地域経済への波及ということ、集客交流を進めることも大切なことである。県外等から多数の来訪者を呼び込むことを考えると、数字などの結果を重要視せねばならないこともある。
 地域住民は自らが実施した、盛り上がったという成果とともに、集客、地域経済への寄与という結果も求めていくべきだと考える。
事業推進体制
 基本構想の策定後、地域住民の積極的な参画を得て事業の実施計画を策定する組織、企画運営委員会(仮称)を設立する。
 事業前年度の平成15年度には、三重県全域をあげてのバックアップを受けて、本格的に事業を運営、実施するための実行委員会(仮称)の設置と順次組織体制を充実していく必要がある。
 地域住民が中心となる実行組織の熱いおもいを地域を挙げて支援するためには、伊賀の行政が一体とならなければならない。
 そのためには伊賀地域7市町村と県民局から成る協議会を設置が必要であり、同協議会がこの事業実行に際しての事務局の役割を果たさなければならない。
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