浅井忠「小丹波村」:X線連動比較画像   作品詳細

この作品は、いつの時点か不明ですが、補強のため格天井(ごうてんじょう)型のパネルに張り込まれました。縦に4本、横に3本走る線はパネルの木の桟(さん)が映し出されていて、それぞれは長めの釘で接合されています。画像を拡大して観察すると、作品の上辺と下辺近くにほぼ規則的な欠損跡があります。これはキャンバスの釘穴跡です。左右辺にはそうした規則的な欠損部分がないことから、当初のこの作品の寸法は、もう少し天地が短かかった可能性があります。風景の明るい場所と暗い場所とを白色絵具の割合を絶妙に変えることによって表現がなされた、浅井忠の確かな技法をエックス線画像からみてとることができます。