村山槐多「自画像」:X線連動比較画像   作品詳細

村山槐多20歳の頃の自画像です。以前から槐多の左耳部分に別の肖像があることが指摘されていましたが、エックス線によって面長の肖像が下の層から現れました。20歳頃の肖像である現在の作品の顔は、ほとんどシルバー・ホワイトなど原子量の大きい絵具を使用しておらず、それに対して面長の肖像では使用されているため、比較的はっきりと下層の像を確認することができます。さらに、この面長の肖像の下には牛(画面左中央から下にかけての部分)が草原で横たわっている風景画(画面を左に90度回転させると正位置)が一番下の層に描かれていることがわかりました。この風景画の描き方は槐多の表現とは異なることから、従兄の画家山本鼎か、あるいは山本の紹介で東京での槐多の世話をした画家小杉未醒が南仏で描いた作品である可能性があります。