『古代史』より「ペネロペの夜」
コレクション |
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ジャンル |
版画 |
作者名 |
ドーミエ、オノレ DAUMIER, Honoré |
制作年 |
1842 |
材料 |
リトグラフ・紙 |
寸法 |
33.2×24.6 |
署名 |
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寄贈者 |
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来歴 |
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初出展覧会 |
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作品名欧文 |
Les nuits de Pénélope (From "Histoire ancienne") |
関連資料 |
解説 |
トロイア戦争の英雄オデュッセウスは敵陣陥落後、妻ペネロペイヤの待つイタケの帰路につく。待ちに待った帰還だったが、彼を恨む海王の陰謀で、二十年にもわたる放浪の道のりとなった。 便りのない夫を持ち続ける妻に、あきらめよと求婚する男どもが後をたたない。ペネロペイヤはといえば、自分の再婚の後、取り残される老義父へのせん別の経帷子(かたびら)が織り上がるまで待って欲しいと条件を出して彼らをはぐらかし、夜ごと灯火のもとで編んではほどき、終わりなき営みに夫婦のきずなの可能性をかけた。ここでは、ペネロペイヤは織りをほぐす手を休め、戯れに壁に書き付けた夫の似顔絵に眺めいっている。 髪は乱れ、衣服はしどけなく夫の面ざしもまさに子どもの落書き程度であるが、作者の視線には意外や意外、冷ややかさが感じられない。むしろ、理想化しないところに、地に足のついた強さとたくましさを感じさせる。賢明な読者ならお気付きであろうが、この長き間、肝心の夫はといえば、流れ着いた島々で女神や魔女との甘い逢瀬を重ねていたのであった。 (県立美術館学芸員・生田ゆき) [作家名(フランス語)] Honoré DAUMIER |
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展覧会歴 |
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文献 |
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