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鴨の静物


コレクション

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ジャンル

水彩・素描

作者名

岩橋教章
IWAHASHI Noriaki

制作年

1875(明治8)年

材料

水彩・紙

寸法

54.0×34.3

署名

左下:いわはし / のりあき

寄贈者

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来歴

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初出展覧会

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作品名欧文

Still Life with a Duck
関連資料

解説

 伊勢松坂(現・三重県松阪市)に生まれ、鳥羽藩士・岩橋庄助の養嗣子となり出府。はじめ狩野洞庭に学び、1861(文久元)年、軍艦操練所絵図認方出役となって以降、維新後も地図製作に従事した。1873(明治6)年、ウィーン万国博覧会へ派遣され、翌年まで現地に留まり、地図学校で銅石版画術を修得した。
 日本の銅石版画の先駆者とされる岩橋であるが、地図や書籍を除き、版画作品は現存しない。ウィーン留学後の絵画としては、本作品のみが知られる。本作品は、1875(明治8)年2月、岩橋が病床にあった時、見舞いにもらった鴨を吊り下げ、実物大に写生したものと伝えられるが、留学中に制作されたとする説もある。いずれにせよ本作品には、ジャン=ジャック・バシュリエの油彩画との酷似が指摘されるように、西洋絵画の主題や陰影法が導入されている。最初期の絵画として重要な位置を占める作品であるが、鴨の頭部には日本画材の緑青が厚塗りされ、羽や首の白は塗り残しにより表現されるなど、西洋絵画の模倣にとどまるものではない。
(村上敬 『三重県立美術館 コレクション選』 2022年)

展覧会歴

明治・大正・昭和三代名画展(松坂屋 1959)
日本洋画のれきし 三重県立美術館コレクションによる(茨城県近代美術館 2000) no.3
そこに在ること―日本の静物画100年の歩み―(福岡市美術館 2016)
リアル(写実)のゆくえ―明治から現代まで―(平塚市美術館、足利市立美術館、碧南市藤井達吉現代美術館、姫路市立美術館 2017)
開館35周年記念Ⅰ ベスト・オブ・コレクション―美術館の名品(三重県立美術館 2017)

文献

酒井忠康『近代日本の水彩画』(岩波書店 1996)
谷川渥『【図説】だまし絵 もうひとつの美術史』(河出書房新社 1999)p.108
中原佑介「美術が語る花鳥風月」『草月』211号 1993.11
山口県立美術館編『みる・しる・しらべるコレクション vol.2 高橋由一 鴨図』(オクターブ 2009.6.30)p.14図5
Doshin Sato, Moderrn Japanese Art and the Mieji State. The Politics of Beauty, The Getty Research Institute, 2011, p.144, pl.9
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