キリスト磔刑


コレクション

-

ジャンル

絵画(油彩画等)

作者名

ルオー、ジョルジュ
ROUAULT, Georges

制作年

1939年頃

材料

油彩・紙(キャンバスで裏貼)

寸法

62.7×47.1

署名

右下:Georges Rouault

寄贈者

公益財団法人岡田文化財団寄贈

来歴

原精一旧蔵

初出展覧会

-

作品名欧文

The Crucifixion
関連資料

解説

 20世紀最大の宗教画家との呼び声高いジョルジュ・ルオーによる磔刑図。画面中央に十字架にはりつけられたキリスト、その左右に跪くマグダラのマリア、立ち姿の聖母マリアと使徒ヨハネの姿が描かれる。人物達の動きは抑制され、その表情は判然としない。画面の鮮やかな色彩が目を引く一方、全体の雰囲気は重々しい。作中の太く黒い輪郭線には、若い頃徒弟修業をしていたステンドグラス工房で見たステンドグラスの表現の影響が指摘される。
 「磔刑」はルオーが1910年代よりしばしば手がけたテーマの一つ。登場人物に差異はあるが、いずれの作品でもキリストの姿が画面に大きく描かれる。本作は似た作例が散見される1930年代末に描かれたとされる。かつてルオーは友人への手紙に「危機の時代において、信じられるのは十字架の上のキリストだけです」[註]と綴っているが、再び戦争に向かう危機の時代にあって、このテーマは切実な意味を持っていたことだろう。
[註]1926年に送られたエドゥアール・シュレへの手紙(Pierre Courthion, Georges Rouault, Flammarion, Paris, 1962, p. 222.)
(坂本龍太 『三重県立美術館 コレクション選』 2022年)

[作品名(フランス語)]
Le crucifix

展覧会歴

(財)岡田文化財団設立20周年記念展(三重県立美術館 1999)no.1-4
珠玉の近代絵画~岡田文化財団コレクションより~(四日市市立博物館 2001)
魂の独白 ジョルジュ・ルオー展(茨城県近代美術館 2003) no.62
岡田文化財団コレクション―珠玉の近代絵画展(そごう美術館・横浜 2004)
聖なる風景 ルネサンスからルオーまで(ヤマザキマザック美術館 2015-16)
開館35周年記念Ⅰ ベスト・オブ・コレクション―美術館の名品(三重県立美術館 2017)
岡田文化財団寄贈作品展(パラミタミュージアム 2019)

文献

Bernard Dorival et Isabelle Rouault, Rouault: l'Oeuvre peint, II, Monte-Carlo, 1988, no.1650.(ベルナール・ドリヴァル、イザベル・ルオー/柳宗玄、高野禎子訳、『ルオー全絵画』第2巻、岩波書店、1991年)
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