作品(雪(イ))


コレクション

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ジャンル

絵画(油彩画等)

作者名

吉原治良
YOSHIHARA Jiro

制作年

1937(昭和12)年

材料

油彩・キャンバス

寸法

130.0×96.0

署名

裏面:1937 Yoshihara

寄贈者

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来歴

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初出展覧会

第27回二科展(1940):『雪(イ)』

作品名欧文

Work (Snow (I) )
関連資料

解説

 五角形が配置され、直線が引かれた白い画面。白のマチエールは多様で、毛羽立った表面や、滑らかで光沢のある表面に分かれている。
 吉原治良は、1938(昭和13)年に二科会で革新性を志向する画家らと九室会を結成。ところが社会はにわかに戦時色に染まり、前衛芸術への風当たりが強まっていく。本作は1940(昭和15)年の第27回二科展出品作。展覧会後の座談会において、「円とか三角」を描いた絵画には軍人から非難が浴びせられた[「国防国家と美術」『みづゑ』434号、1941年、129-139頁 とりわけ132-133頁]。
 この頃には既に時流が画家の筆を圧迫していたのだろうか。二科展の翌月に開幕した展覧会に、吉原は具象的な《雪山》(大阪中之島美術館蔵)を出品。両作の比較から、本作の五角形を小屋に、直線を枝に類推することもできる。雪肌のざらりとした触感等、視覚性を超えた本質の再現においては、厳格な抽象画に見える本作も決して引けをとらない。
 戦後を迎え、吉原は具体美術協会を創設。再び前衛芸術を牽引し、美術の革新に大いに貢献した。
(鈴村麻里子 『三重県立美術館 コレクション選』 2022年)

展覧会歴

第27回二科展(1940):『雪(イ)』
吉原治良展(東京画廊 1967)
没後20年 吉原治良展(芦屋市立美術博物館、大原美術館 1992)no.71
Jiro Yoshihara(Padiglione Israele, XLV Esposizione Internazionale d'Arte, La Biennnale di Venezia, 1993)
日本洋画のれきし 三重県立美術館コレクションによる(茨城県近代美術館 2000) no.73
昭和前期の洋画 1923~1945(島根県立美術館 2004)
生誕100年記念 吉原治良展(ATCミュージアム、愛知県美術館、東京国立近代美術館、宮城県美術館 2005-2006)cat.no.67:『雪(イ)』1940年頃
4つの物語 コレクションと日本近代美術(川村記念美術館 2009)cat.no.45 
開館35周年記念Ⅰ ベスト・オブ・コレクション―美術館の名品(三重県立美術館 2017)
小磯良平と吉原治良(兵庫県立美術館 2018)

文献

平井章一「吉原治良の1930年代の抽象絵画-素描と蔵書が物語ること」『吉原治良研究論集』吉原治良研究会 2002 p.24,35 fig.14, cf.id., p.32,40 fig.53-54
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