猫のいる自画像


コレクション

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ジャンル

絵画(油彩画等)

作者名

藤田嗣治
FUJITA Tsuguharu

制作年

1927(昭和2)年頃

材料

油彩・キャンバス

寸法

54.3×45.5

署名

右中央部:嗣治 / Foujita

寄贈者

東畑謙三氏寄贈

来歴

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初出展覧会

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作品名欧文

Self-Portrait with a Cat
関連資料

解説

 1886(明治19)年、東京に生まれた藤田嗣治は、生涯のほぼ半分をフランスで暮らし、パリを拠点に活躍した。1920年代に後の藤田の代名詞となる絵画表現技法「乳白色の下地」を独自に考案する。日本の伝統的な支持体である紙や絹の地肌を西洋絵画の画材を用いて表現し、日本的な画風を作り出した。晩年には仏国籍を取得し、レオナール・フジタ(Léonard Foujita)と名乗るようになり、画題も宗教的なものが多くなった。
 藤田は1920年代にアトリエでの自画像を多く手がけた。硯や墨、紙の置かれた仕事机に向かい、黒髪の個性的なヘアスタイルをした藤田は、右手に面相筆をもって頬杖をつき、その左肩からすり寄るようにのぞく猫を従え、こちらを見つめている。日本的な小物をあえて描くことにより、日本人画家であることを強調している。
 乳白色の下地に細い筆を用いて繊細な線描を表現する技法が用いられている。下地にタルクを混ぜることにより、滑らかな表面を作り出して墨線を引くことを可能にしたことが、近年の研究により解明された。
(橋本三奈 『三重県立美術館 コレクション選』 2022年)

展覧会歴

日本洋画のれきし 三重県立美術館コレクションによる(茨城県近代美術館 2000) no.81
巴里の屋根の下に生きて―パスキンとエコール・ド・パリ展(茨城県近代美術館 2001) no.81
美術を楽しむ散歩道―三重県立美術館名品展Ⅰ 日本洋画の楽しみ(川越市美術館 2003)
没後40年 レオナール・フジタ展(北海道県立近代美術館、宇都宮美術館 2008)
親子で楽しむ展覧会 集まれ! おもしろどうぶつ展(横須賀美術館 2011)
アート・アーチ・ひろしま2013(ひろしま美術館 2013)
藤田嗣治展(兵庫県立美術館 2016)
レオナール・フジタとモデルたち(いわき市立美術館、新潟万代島美術館、秋田県立美術館 2017)
ねこがいっぱい ねこ展(ひろしま美術館 2018)
没後50年 藤田嗣治展(京都国立近代美術館 2018)
藤田嗣治と彼が愛した布たち(福岡市美術館 2020)

文献

Bien編集部「どうぶつ」『Bien』 33号(藝術出版社 2005.6) p.19
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