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津の停車場(春子)


コレクション

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ジャンル

絵画(油彩画等)

作者名

鹿子木孟郎
KANOKOGI Takeshiro

制作年

1898(明治31)年

材料

油彩・キャンバス

寸法

57.1×39.0

署名

-

寄贈者

鹿子木君子氏・鹿子木良子氏寄贈

来歴

鹿子木君子; 三重県立美術館

初出展覧会

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作品名欧文

Tsu Station (Haruko)
関連資料

解説

 鹿子木孟郎は、郷里岡山で油彩画を学び、上京後に小山正太郎の主宰する不同舎で研鑽を積んだ。1900(明治33)年から4年間、欧米に留学、帰国後は京都で活動し、関西美術院で後進の指導にも当たった。肖像画を得意とし、堅実な作風を生涯貫いた。
 本作では、橋の上に立つ和服の女性の後ろ姿が描かれている。遠景には、煙を吐き出しそびえる煙突も見える。鉄道や工場といったモチーフは、都市の近代化や近郊へのレジャーや産業の広がりを表象するものとして、マネやモネなど19世紀後半のフランスの画家たちが繰り返し描いた。鹿子木が本作において日本の近代化を描出しようとしたかどうかはわからない。むしろ、遠くまで伸びた線路に自らの人生を重ね合わせ、広がりゆく未来への期待を込めたのではなかろうか。和服の女性は、新婚の妻、春子である。鹿子木は当時、三重県尋常中学校に赴任中で、翌年に埼玉の学校へ転任、さらにその後に最初の欧米留学を果たした。人生というレールの、すべり出しの時期に描かれた、みずみずしさを備えた作品である。
(原舞子 『三重県立美術館 コレクション選』 2022年)

展覧会歴

没後50年 鹿子木孟郎展(三重県立美術館、神奈川県立近代美術館、京都国立近代美術館、岡山県立美術館 1990-91)no.A-7
三重の近代洋画展―三重県立美術館所蔵品による(三重県立美術館 1998) no.13
1900:Art at the Crossroads(Royal Academy of Arts, Piccadilly, London、Solomon R. Guggenheim Museum, New York 2000) no.139
鹿子木孟郎展―師ローランスとの出会い―(府中市美術館 2001)
鉄道と絵画(東京ステーションギャラリー、ひろしま美術館、栃木県立美術館、福岡市美術館 2003-2004)no.128
美術を楽しむ散歩道―三重県立美術館名品展Ⅰ 日本洋画の楽しみ(川越市美術館 2003)
明治の洋画―解読から鑑賞へ―(茨城県近代美術館 2008)
開館35周年記念Ⅰ ベスト・オブ・コレクション―美術館の名品(三重県立美術館 2017)
パラランドスケープ  “風景”をめぐる想像力の現在(三重県立美術館 2019)
鉄道と美術の150年 (東京ステーションギャラリー 2022-2023)

文献

荒屋鋪透「主題としての駅-鹿子木孟郎〈津の停車場〉をめぐって」『三重県立美術館研究論集』第2号 1987年
『日本美術全集 第22巻 洋画と日本 近代の美術 II』(講談社 1992年) p.18
児島薫『鹿子木孟郎と太平洋画会 日本の美術352』(至文堂1995年) p.3
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