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 特集展示 甲谷 武

会期 2014年7月1日(火)〜9月28日(日)

主催 三重県立美術館

助成 (公財)岡田文化財団、(公財)三重県立美術館協力会

会場 三重県立美術館 柳原義達記念館B室

 

          *

               《白の構造 83》 1983年 三重県立美術館蔵 

 ごあいさつ

  甲谷武(1945〜  )は、三重県伊勢市の出身の現代美術作家。独学で美術を学んだ甲谷は、1970年代から主体美術展、後にモダンアート協会展(1973年〜)に出品を始めます。1980年代以降は現代日本美術展等へも出品を重ねて、白いレリーフ状の作品によって注目を集めます。

 甲谷のレリーフ作品は、白く塗られた木やプラスティックの板を切ってつくられます。その大きな特徴はフォルムの面白さと陰影が織りなす空間表現で、二次元と三次元を往還する造形世界は清潔で現代的な感覚に・?ふれています。

  2000年代に入ると、白い作品に加えてカラフルな作品が登場します。フォルムと構成に対する甲谷の鋭い感覚に変化はありませんが、色を獲得することによって甲谷作品の表情はより豊かになったといえるでしょう。甲谷は、過去40年ほどの間国内外で多くの展覧会に参加して、知る人ぞ知る作家として高く評価されてきました。しかし、意外なことに三重県内でその作品が紹介される機会はわずかでした。

 今回の展覧会では、抽象的なフォルムと線によって構成されたレリーフを中心に、最初期から近作までの作品を通じて甲谷武の軌跡を紹介します。理性と感性との共働から生まれた、表情豊かな造形美の世界をご鑑賞いただければ幸いです。最後に、展覧会開催にあたり全面的にご協力をいただいた甲谷武氏、助成をいただいた公益財団法人 岡田文化財団、公益財団法人三重県立美術館協力会、その他ご支援をいただいた関係各位に深くお礼申し上げます。

                                                          

                                                          2014年7月 三重県立美術館

 前期出品リスト

 

作品名 制作年 初出展覧会 所蔵
新地 1967・昭和42 中部二紀展 個人
鳥のイメージ 1973・昭和48 第23回モダンアート展 個人
SUPER WHITE 1979・昭和54   個人
SUPER WHITE No.2 1979・昭和54 第14回現代日本美術展 個人
白の構造 83 1983・昭和58 第33回モダンアート展 三重県立美術館
白の構造 B 1985・昭和60 現代日本絵画展(ニューデリー国立近代美術館) 個人
波動空間 1986・昭和61 第36回モダンアート展 個人
復活の街 1 1995・平成7 第24回現代日本美術展 個人
Space of Zero 2003・平成15 第53回モダンアート展 個人
Space of Zero 2005・平成17 C.A.F・N展 個人
Space of Zero 2006・平成18 個展(ギャラリーAPA) 個人
Dark Matter 2010・平成22 C.A.F・N展 個人
MAZIORA 2013・平成25 現代日本の視覚展 個人

 

 後期出品リスト

  

作品名 制作年 所蔵
1968・昭和43 個人
鳥のイメージ 1973・昭和48 個人
SUPER WHITE 1980・昭和55 個人
SUPER WHITE 1980・昭和55 個人
SUPER WHITE 1979・昭和54 個人
白の位相 1981・昭和56 個人
氷壁 1991・平成3 個人
白い海 1995・平成7 個人
Space of Zero 2003・平成15 個人
Space of Zero 2005・平成17 個人
Space of Zero 2006・平成18 個人
Dark Matter 2010・平成22 個人
MAZIORA 2013・平成25 個人

 

作家の言葉

 

何歳頃から美術に関心を持つようになったのですか。

中学生の頃、ボールペンで山川惣治風の創作マンガを描いていました。油絵に興味を持ったのは高校2年生の時。宇治山田高校の美術部に先輩の作品が多く残されていたからです。

 

「白」一色の作品を多く制作しているのはなぜですか。

平面作品に絵画としての構造を持たせることで、見る角度や光の屈折によって画面に影の動きが生じます。本来構造物の奥にあるものは前面より暗く見えるはずですが、画面を白く塗ることで光が増幅され、たとえば前面を四角く切り取った奥の面の方が明るく見えます、この光の乱反射現象を画面構成に採り入れています。

「白」ではなく赤、黒などでも実験しましたが、すべて光を吸収してしまい乱反射現象が出ませんでした。その結果、作品の意図を明確に表現できる色彩は、白以外に発見することができませんでした。

 

甲谷さんにとって「色彩」は、どのような意味を持っていますか。

色彩は光によって変化するものと考えています。例えばある単色を何度塗り重ねても色彩としては薄っぺらで、色本来の可能性を発揮しません。黄色の色彩の特質を最大限に生かそうとした場合、下地は赤などを塗ることで、光が表面から下地の色まで通過する際に上塗りと下地の間に屈折が生じ、より鮮明な色彩となります。伊藤若沖も、こうした手法を使っていると思います。色彩は光を計算に入れることで、本来の彩を発揮するものと認識しています。

 

甲谷さんにとって「光」は、どのような意味を持っていますか。

光は色彩のすべてを含む、可能性の根源であると考えます。

 

純粋な平面作品ではなく、レリーフ状作品を制作しているのはなぜですか。

前の答えと重複しますが、光のあたる画面が実像とすれば、影の部分は虚の世界、光と影の幻影の中に人間のロマンがあると考えています。

 

「絵画」とか「立体」といったジャンル分けをどのようにお考えですか。

私には絵画とか立体という意識はありません、壁に展示する作品は、ジャンルを超えて存在します。平らな床面に展示する作品を立体と考えています。

 

作品に登場する様々なフォルムは、どのように発想するのですか。

150号とか130号の縮尺の枠内に作品のイメージを鉛筆で描いてゆきます。ひと筆描きのように一気に仕上げます。数枚の内から1枚を選んで、実物大のベニヤ板にフォルムを描き込み仕上げます。ひと筆描の線はほとんど修正しません。勢いを大切にしています。作品のイメージは、酒を飲んでいたりテレビを観ていたりした時にふと浮かんだ形をメモしておきます。

 

甲谷 武 略年譜

  

1945(昭和20)年 3月8日、伊勢市に生まれる。青年期から小野康夫、足代義郎らに絵画の教えを受ける。

1969(昭和44)年 第5回主体美術展に出品。

1973(昭和48)年 第23回モダンアート協会展に出品(以後、毎年出品)。

1979(昭和54)年 第14回現代日本美術展に出品。

1983(昭和58)年 第33回モダンアート協会展で奨励賞受賞。第16回現代日本美術展で賞候補となる。

1984(昭和59)年 第15回日本国際美術展に出品。

         ギャラリーウエストベス(名古屋市)で個展開催。

1985(昭和60)年 第35回モダンアート協会展で奨励賞受賞、会員となる。

         第17回現代日本美術展で佳作賞・富山県立近代美術館賞受賞。

1986(昭和61)年 亀谷美術館(伊勢市)で甲谷武展開催。

横浜そごう美術館開館記念・現代日本絵画83人展に出品。

1988(昭和63)年 絵画今・・・展(京都市立美術館、三重県立美術館、埼玉県立近代美術館)に出品(1990年まで)。

1989(昭和64)年 第19回現代日本美術展で三重県立美術館賞受賞。

1990(平成2)年 ‘90コンテンポラリーアートフェスティバル(埼玉県立近代美術館)に出品。

1991(平成3)年 鳥羽水族館マリンギャラリー(鳥羽市)で個展開催。

1993(平成5)年 C・A・F展(埼玉県立近代美術館)に出品(2003年まで)。

1994(平成6)年 まくらざき’94 現代美術選抜展(枕崎市・南冥館)に出品。

現代美術の視点(名古屋三井海上ギャラリー)に出品(1998年まで)。

1995(平成7)年 三重県総合文化センター開館記念・三重の作家達展に出品。

1996(平成8)年 現代日本の視覚展(三重県総合文化センター)に出品、代表をつとめる。

1999(平成11)年  湘南セミナーハウスの壁画制作。三重県立宇治山田高校プラチナホールの壁画制作。

2000(平成12)年 足代義郎と三重の美術50年展(三重県総合文化センター)に出品。

2002(平成14)年 中日現代美術展(ニューヨーク・アジアソサイエティ)に出品。

2003(平成15)年 笠沙アートフェスティバル(南さつま市)に出品。BAK展(愛知県立美術館)に出品(2005年まで)。

2005(平成17)年 21世紀日本内モンゴール国際美術展(内モンゴール国立美術館)に出品。

グループ・ピアザ展に出品(現在まで)。

2006(平成18)年 ギャラリーAPA(名古屋市)で個展開催。

三重県営サンアリーナ(伊勢市)で個展開催。

21世紀台湾・日本国際交流芸術展(台北市・長流美術館)に出品。

2007(平成19)年 21世紀のメッセージ作家の視点(はるひ美術館)に出品。

2008(平成20)年 北京オリンピック開催祝「中日国際交流芸術展」(北京・故宮博物院)に出品、副委員長となる。

2009(平成21)年 21世紀・絵画・手の仕事(丸の内地下行幸ギャラリー、日本建築美術工芸協会主催)に出品。

2010(平成22)年 上海万博「中・日・韓美術作品交流展覧会」(上海美術館)に出品、副代表となる。

2012(平成24)年 現代美術ZEROの視点(豊田市美術館)に出品。

2014(平成26)年 甲谷武展(三重県立美術館柳原義達記念館)開催。

 

作家解説

 

甲谷武のこと  毛利伊知郎

 

 

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