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美術館 > 展覧会のご案内 > 企画展 > 2014 > ア・ターブル!-ごはんだよ!食をめぐる美の饗宴- 出品作品リスト

ア・ターブル!-ごはんだよ!食をめぐる美の饗宴-出品リスト

第Ⅰ章 芸術家たちの厨房 

 宴の幕開けにあたって、まずは、厨房へと足を踏み入れてみましょう。
 食べ物が描かれた多くの作品のうち、圧倒的多数を占めるのが、いわゆる「静物画」と呼ばれるジャンルです。画家によって、モチーフ(食材)が選ばれ、構図が決められ(盛りつけられ)、色が施される(味付けされる)これらの作品は、芸術家の調理台とも言えるでしょう。
 同じように食べ物が並べて描かれている場合でも、選択されるモチーフには、その画家が背景とする文化が反映されています。西洋近代美術の技法や様式を学ぶ画家たちが描く対象も、そうした文化とは無関係ではないようです。
 厨房にある食べ物は、それが身近であるからといって、必ずしも親近感を持って描かれているわけではありません。画家の目を通して見た魚や果物は、ときに不気味な表情で、あるいは、まるで魂が宿ったかのように、その存在を主張しています。
厨房という場所そのものにも目を向けてみましょう。そこは、充足感に満ちた私的空間となることもあれば、家庭の閉塞感を象徴する場にもなるでしょう。しばしば「庶民の台所」と呼ばれ、厨房とも密接に繋がりあった市場もまた、ある時代や場所の生活、食文化を映し出す興味深いモチーフです。

作品番号 作者 作品名 制作年 素材・技法 サイズ 所蔵先 展示期間
Ⅰ- 1 ブリヤ=サヴァラン(著) ベルタル(挿絵 『美味礼賛』 1848 書籍、鋼版画 24.0×16.2×3.3 日本体育大学図書館  
Ⅰ- 2 アドリアーン・ファン・ユトレヒト  猟の獲物と野菜のある静物 1648 油彩・キャンバス  81.5 × 115.5 国立西洋美術館  
Ⅰ- 3 ジャン=バティスト・ウードリー 果物と野菜の静物 1727 油彩・キャンバス  101.8×93.6 ヤマザキマザック美術館  
Ⅰ- 4 シャイム・スーチン 羊肉 1920 油彩・キャンバス 69.2×39.4 ヤマザキマザック美術館  
Ⅰ- 5 安井曾太郎 パンと肉 1910 油彩・キャンバス 31.8×39.2 愛知県美術館  
Ⅰ- 6 里見勝蔵 静物 1919-20 油彩・キャンバス 49.9×60.7 星野画廊  
Ⅰ- 7 前田寛治 静物 1923 油彩・キャンバス 45.8×60.0 鳥取県立博物館  
Ⅰ- 8 上山二郎 テーブルの魚 1922 油彩・キャンバス 88.7×115.5 兵庫県立美術館  
Ⅰ- 9 岡鹿之助 1927 油彩・キャンバス 60.0×73.0 名古屋市美術館  
Ⅰ- 10 吉原治良 鮭のある風景 1928 油彩・キャンバス 65.2×90.7 大阪新美術館建設準備室  
Ⅰ- 11 林武 静物 1950 油彩・キャンバス 52.5×55.0 東京国立近代美術館  
Ⅰ- 12 坂本繁二郎 1949 油彩、キャンバス 41.2×60.3 福岡市美術館  
Ⅰ- 13 小出楢重 卓上静物 1928 油彩・キャンバス 60.8×73.5 京都国立近代美術館  
Ⅰ- 14 須田国太郎 蔬菜 1932 油彩・キャンバス 60.5×80.0 東京国立近代美術館  
Ⅰ- 15 寺田政明 野菜など 1943 油彩・キャンバス 65.2×90.8 広島市現代美術館  
Ⅰ- 16 北脇昇 静物習作(かぼちゃと卵) 1949 油彩・キャンバス 37.2×45.0  東京国立近代美術館  
Ⅰ- 17 香月泰男 調理前 1950 油彩・キャンバス 40.9×60.6 香月泰男美術館  
Ⅰ- 18 香月泰男 椅子の上の章魚 1951 油彩・キャンバス 65.5×45.5 香月泰男美術館  
Ⅰ- 19 長谷川■(りん)二郎 乾魚 1972 油彩・キャンバス 24.0×33.0 個人蔵  
Ⅰ- 20 森芳雄 大根など 1942 油彩・キャンバス 72.7×60.6 三重県立美術館  
Ⅰ- 21 エドゥアール・ヴュイヤール 風景と室内:料理する女 1899 リトグラフ・紙 35.5×27.5 国立西洋美術館 後期
Ⅰ- 22 浜口陽三 朝食 1957 メゾチント・紙 29.0×36.0 和歌山県立近代美術館 前期
Ⅰ- 23 浜口陽三 魚と果物 1954 メゾチント・紙    29.0×34.0  三重県立美術館  
Ⅰ- 24 ジュリー・ルーク 玉ねぎを切るたび泣ける 1988 アクリル、セラミック 72.8×140.0×83.5 福岡アジア美術館  
Ⅰ- 25 北川民次 市場 1959 油彩・キャンバス 72.3×90.7 個人蔵  
Ⅰ- 26 高橋由一 厨房具 1878 油彩・キャンバス 42.3×60.5 愛知県美術館  
Ⅰ- 27 鏑木清方 1937 絹本着色 72.0×86.0 東京国立近代美術館 前期
Ⅰ- 28 池田遙邨 錦小路の夜 1929 絹本着色 69.0×85.0 倉敷市立美術館 後期
Ⅰ- 29 円山応挙 十二支 大根鼠 1770 絹本着色 118.0×47.0 海の見える杜美術館 前期
Ⅰ- 30 曾我蕭白 鮭に鼠図 制作年不詳 絹本墨画 116.2×29.6 三重県立美術館寄託 後期
Ⅰ- 31 歌川広重 丸清版・隷書
東海道五十三次 
日本橋
1847-51頃 木版・紙 21.3×34.3 三重県立美術館 前期
Ⅰ- 32 渓斎英泉 江戸八景 
日本橋の晴嵐
1843-46 木版・紙 21.9×34.7 味の素食の文化センター 後期
Ⅰ- 33 歌川国芳 江戸じまん名物くらべ 亀戸のふぢ 1844-47 木版・紙 24.5×17.3 ギャラリー紅屋 前期
Ⅰ- 34 歌川国芳 江戸じまん名物くらべ こま込のなす 1844-47 木版・紙 25.6×18.1 ギャラリー紅屋 後期
Ⅰ- 35 作者不詳 酒飯論絵巻 16世紀
 
紙本着色 30.7×1416.0 文化庁  
Ⅰ- 36 作者不詳 酒飯論絵巻(白描本) 1820
 
紙本白描 30.2×812.0 文化庁   

第Ⅱ章 食卓をめぐる光景

  本章では、いよいよ、みなさまを食卓へとご案内しましょう。
 冒頭に掲げた、黙々と食べ物を口に運ぶ子どもや男たちの姿は、現代の「孤食」の問題を想起させるもの悲しさに満ちていますが、それとは対照的に、浮世絵のなかで天ぷらや鍋を楽しむ充足した女性たちの表情は、一人の食卓が、必ずしも貧しいものではないことを示しています。
 ここに集めた作品を見ると、私たちの社会の基盤となる様々な関係が、食卓を囲んで築かれているということに思い至ります。身近な人たち同士が共有する親密な時間や、同じ志を持つ者たちが絆を確かめ合う宴席、テーブルを挟んで深まっていく男女の仲など、その有り様は食卓ごとに異なっています。各作品に描かれた食卓の上で、どのような人間関係が結ばれ、感情が交わされているのか、想像を膨らませてみてください。
 食事は、記憶の生成とも深く関係し、私たちの生きる時間に句読点を打つ働きも果たしているでしょう。いくつかの作品は、食卓上で浮かんでは消えて行く光景が、日々の繰り返しであるようで、実は、一度きりのものであることを、ほのめかしています。食物を消費し、生命を維持するための食事もまた、カウントダウンのように時を刻んでいくという点では、実は、死とも不可分ではないのかもしれません。
 

作品番号 作者 作品名 制作年 素材・技法 サイズ 所蔵先 展示期間
Ⅱ- 1 高山辰雄 食べる 1973 紙本着色 161.5×113.5 大分県立芸術会館 後期
Ⅱ- 2 高山辰雄 たべる 1946 紙本着色 76.1×60.9 大分県立芸術会館 前期
Ⅱ- 3 麻生三郎 1940 油彩・キャンバス 91.0×72.7 茨城県近代美術館  
Ⅱ- 4 前田寛治 物を喰う男 1924  油彩・キャンバス 116.7×91.0   鳥取県立博物館  
Ⅱ- 5 中山巍 スープを飲む老人 1927 油彩・キャンバス 113.0×71.0 愛知県美術館  
Ⅱ- 6 深沢幸雄 めし 1956 メゾチント・紙 24.1×18.0 千葉市美術館 前期
Ⅱ- 6 深沢幸雄 めし 1956 メゾチント・紙 24.1×18.0 和歌山県立近代美術館 後期
Ⅱ- 7 月岡芳年 風俗三十二相
むまそう
1888 木版・紙 37.2×25.6 千葉市美術館 前期
Ⅱ- 8 豊原国周 見立昼夜廿四時の内
正午十二時
1890 木版・紙 35.5×23.3 味の素食の文化センター 後期
Ⅱ- 9 歌川豊国(三代) 江戸名所百美女 
日本橋
1857 木版・紙 36.5×24.1 味の素食の文化センター 前期
Ⅱ- 10 歌川豊国(四代) 東京美女揃 柳橋錦糸 1868 木版・紙 36.2×24.7 味の素食の文化センター 後期
Ⅱ- 11 歌川国芳 東都七福弁天 
深川すさき弁天
19世紀 木版・紙 23.1×29.5 ギャラリー紅屋 前期
Ⅱ- 12 歌川国芳 五行の内 西瓜の水性 1843-46 木版・紙 22.0×29.8 ギャラリー紅屋 後期
Ⅱ- 13 土田麦僊 ■(いこう) 1907頃 絹本着色 68.0×71.5 京都市美術館 前期
Ⅱ- 14 堅山南風 黄昏 1972 紙本着色  151.0×136.0 熊本市現代美術館 後期
Ⅱ- 15 小林古径 食後 1949 紙本着色  124.3×82.2 株式会社大和証券グループ本社 後期
Ⅱ- 16 小倉遊亀 家族達 1958 紙本着色  204.0×153.6 滋賀県立近代美術館 前期
Ⅱ- 17 川合玉堂 清風涼波 1901 紙本着色  31.5×638.0 岐阜県美術館 後期
Ⅱ- 18 神坂雪佳 佳都美会員城之崎温泉旅行記 1909-1919 紙本着色 27.0×976.0 京都国立近代美術館寄託 前期
Ⅱ- 19 横山大観 水國之夜 1911 絹本着色 131.0×60.0 京都国立近代美術館 前期
Ⅱ- 20 横山大観 水國之夜 1911頃 絹本着色 157.0×86.0 茨城県近代美術館 後期
Ⅱ- 21 長原孝太郎 牛肉屋の二階 1892 水彩・紙     18.6×24.3 三重県立美術館  
Ⅱ- 22 長原孝太郎 焼芋屋 制作年不詳    水彩、インク・紙   23.0×30.6  三重県立美術館  
Ⅱ- 23 木村荘八 パンの会 1928 油彩・キャンバス  74.0×90.0 岐阜県美術館寄託  
Ⅱ- 24 田村宗立 接待図 1902 油彩・キャンバス 71.0×164.8 京都国立近代美術館寄託  
Ⅱ- 25 パブロ・ピカソ 貧しき食事 1904 エッチング・紙 46.5×37.5 富山県立近代美術館 後期
Ⅱ- 25 パブロ・ピカソ 貧しき食事 1904 エッチング・紙 46.5×37.5 国立国際美術館寄託 前期
Ⅱ- 26 エドヴァルド・ムンク クリスティアニア・ボヘームI(マイヤーグレーフェ・ポートフォリオ) 1895 エッチング、 ドライポイント・紙 20.5×28.3 三重県立美術館 後期
Ⅱ- 27 エドヴァルド・ムンク 差向い(下宿での逢引き)(マイヤーグレーフェ・ポートフォリオ) 1895 エッチング、 ドライポイント・紙 20.3×30.9 三重県立美術館 前期
Ⅱ- 28 金山康喜 食前の祈り   1950 油彩・キャンバス  90.7×117.0 富山県立近代美術館  
Ⅱ- 29 清水登之 チャプスイ店にて 1921  油彩・キャンバス  71.3×56.3 三重県立美術館  
Ⅱ- 30 北川民次 家族と画家夫妻 1945 油彩・キャンバス 65.4×80.3 個人蔵  
Ⅱ- 31 アンソニー・グリーン 復活祭/ル・ランシー 1981 油彩・合板 205.7×276.9 世田谷美術館  
Ⅱ- 32 アンリ・カルティエ=ブレッソン マルヌ河畔で、フランス 1938 ゼラチン・シルバー・プリント 24.0×35.9 東京都写真美術館 前期
Ⅱ- 33 アレクサンドル・M・ロトチェンコ ステパノーヴァとロトチェンコの母 1929頃 ゼラチン・シルバー・プリント 21.0×25.3 東京都写真美術館 後期
Ⅱ- 34 ジェフ・ウォール Jell-O 1995 トランスペアレンシー、ライトボックス 143.5×180.0 世田谷美術館  
Ⅱ- 35 ディヴィッド・ホックニー 英国大使館での昼食-1983年2月16日、東京#15 1983 写真コラージュ 117.0×210.8 国立国際美術館  
Ⅱ- 36 野田哲也 日記1996年4月7日、ボストン 1996 木版、シルクスクリーン・和紙 52.5×87.0 作家蔵  
Ⅱ- 37 ダニエル・スペーリ レストラン・シティ・
ギャラリー
1965 ミクストメディア 135.0×135.0×34.0 豊田市美術館  
Ⅱ- 38 荒木経惟 『食事』より 1990頃 カラー(RP) 35.6×43.2 一色事務所  
Ⅱ- 39 荒木経惟 『食事』より 1990頃 カラー(RP) 35.6×43.2  一色事務所  
Ⅱ- 40 荒木経惟 『食事』より 1990頃 カラー(RP) 35.6×43.2  一色事務所  
Ⅱ- 41 荒木経惟 『食事』より 1990頃 カラー(RP) 35.6×43.2  一色事務所  
Ⅱ- 42 荒木経惟 『食事』より 1990頃 カラー(RP) 35.6×43.2 一色事務所  
Ⅱ- 43 荒木経惟 『食事』より 1990頃 カラー(RP) 35.6×43.2  一色事務所  
Ⅱ- 44 荒木経惟 『食事』より 1990頃 B&W(RC光沢) 35.6×43.2   一色事務所   

 

第Ⅲ章 夢の中で乾杯

 つづいて、夢や憧れ、物語の中へと歩みをすすめましょう。
 舌に触れ、腹におさめて満足を得るという、きわめて即物的であるはずの食。ところが、本章の作品においては、食べ物や食器類が、味やにおい、手触りを奪われ浮遊する、幻のような存在として描かれています。食べ物や嗜好品は、異文化への夢や憧れを象徴的に示すこともあれば、描かれた世界の非現実感を演出する役割を果たすなど、多様なイメージを喚起します。
 物語の筋書きにおいても、飲食は重要な役割を果たします。それは、一つの町を丸ごと飲み込むほどの食欲を持つ巨人の冒険譚や、食に執着する動物たちの顛末から教訓を引き出すいくつかの寓話など、ここに挙げた一部の作例からもうかがい知ることができます。
 無生物であるはずの野菜や果物に命が吹き込まれる「擬人化」も、絵画や物語において多く見られるものです。それは、食物に対して畏敬と親しみの念を抱くアニミズム的思想を表現するだけでなく、ときに風刺をともないながら情報を伝達する、メディアとしての働きも果たしています。洋をまたいで存在するそれらの作例は、この世界の成り立ちや出来事を伝達するために、食べ物のモチーフが果たす役割の普遍性を示しています。

作品番号 作者 作品名 制作年 素材・技法 サイズ 所蔵先 展示期間
Ⅲ- 1 古賀春江 素朴な月夜 1929 油彩・キャンバス 116.5×91.0 石橋財団石橋美術館  
Ⅲ- 2 脇田和 デリカテッセン 1967 油彩・キャンバス 115.8×72.8 福岡市美術館  
Ⅲ- 3 脇田和 りんご 1974 リトグラフ・紙    28.5×27.5 三重県立美術館  
Ⅲ- 4 脇田和 1970 シルクスクリーン・紙    24.3×38.5 三重県立美術館  
Ⅲ- 5 駒井哲郎 調理場 1958 エッチング、アクアチント・紙
 
21.4×31.1 和歌山県立近代美術館 前期
Ⅲ- 6 駒井哲郎 食卓II 1959 カラーアクアチント・紙 24.0×19.0 世田谷美術館 後期
Ⅲ- 7 長谷川潔 美食家協会メニュー用銅版画 1964 マニエールノワール・紙  16.5×12.0  京都国立近代美術館 前期
Ⅲ- 8 長谷川潔 フランス版画家協会晩餐会メニュー用銅版画 1956 エングレーヴィング・紙 22.4×17.1 京都国立近代美術館 後期
Ⅲ- 9 川上澄生 南蛮料理 1970 木版・紙 20.3×23.4 栃木県立美術館 前期
Ⅲ- 10 川上澄生 星空の乾杯 1929 木版・紙 11.6×13.5 栃木県立美術館 後期
Ⅲ- 11 川上澄生 静物(いちごなどの) 1930 木版・紙 17.0×19.0 栃木県立美術館 前期
Ⅲ- 12 川上澄生 パン 1930 多色木版・黄つや紙 25.5×33.3 栃木県立美術館 後期
Ⅲ- 13 山本容子 Asparagus Paradise 1977    ソフトグランドエッチング、アクアチント・紙 45.0×60.0 和歌山県立近代美術館 前期
Ⅲ- 14 山本容子 Ping Pong Pineapple 1977 ソフトグランドエッチング、アクアチント・紙 45.0×59.5 和歌山県立近代美術館 前期
Ⅲ- 15 山本容子 Joke Juice Journey 1977 ソフトグランドエッチング、アクアチント・紙 45.0×59.5 和歌山県立近代美術館 後期
Ⅲ- 16 山本容子 Asparagus Guy 1977 ソフトグランドエッチング、アクアチント・紙 45.0×60.0 和歌山県立近代美術館 後期
Ⅲ- 17 アンドレ・ドラン 『パンタグリュエル挿絵集』ガルガンチュア 1943 木版・紙 22.1×19.4 神奈川県立近代美術館 前期
Ⅲ- 18 アンドレ・ドラン 『パンタグリュエル挿絵集』パンタグリュエル 1943 木版・紙 22.1×19.3 神奈川県立近代美術館 後期
Ⅲ- 19 アンドレ・ドラン 『パンタグリュエル挿絵集』ラ・シャッス 1943 木版・紙 21.0×19.2 神奈川県立近代美術館 前期
Ⅲ- 20 アンドレ・ドラン 『パンタグリュエル挿絵集』無題 1943 木版・紙 22.0×19.5 神奈川県立近代美術館 後期
Ⅲ- 21 靉嘔 レインボー・ディナーセット 1966-68 ミクストメディア 104.0×150.0×85.0 広島市現代美術館  
Ⅲ- 22 草間彌生 きのこ 1995 エッチング・紙 22.0×34.3 神奈川県立近代美術館 前期
Ⅲ- 23 草間彌生 幻の野  1995 エッチング・紙 22.1×29.5 神奈川県立近代美術館 後期
Ⅲ- 24 河野通勢 私も何か御役に立つそうです 1928 油彩・板 24.0×33.0 調布市武者小路実篤記念館寄託  
Ⅲ- 25 マルク・シャガール 7つの大罪(美食I)  1926 エッチング、ドライポイント・紙 16.3×10.7 兵庫県立美術館 前期
Ⅲ- 26 マルク・シャガール 7つの大罪(美食II) 1926 エッチング、ドライポイント・紙 16.0×10.8 兵庫県立美術館 後期
Ⅲ- 27 マルク・シャガール 『ラ・フォンテーヌの寓話』より 「乳搾りの女と牛乳壺」 1927-30 エッチング・紙 38.5×30.0 名古屋市美術館 後期
Ⅲ- 28 マルク・シャガール 『ラ・フォンテーヌの寓話』より 「羊飼いとヒツジの群れ(ブタとヤギとヒツジ)」 1927-30 エッチング・紙 38.5×30.0 名古屋市美術館 後期
Ⅲ- 29 マルク・シャガール 『ラ・フォンテーヌの寓話』より 「白鳥と料理人」 1927-30 エッチング・紙 38.5×30.0 名古屋市美術館 前期
Ⅲ- 30 マルク・シャガール 『ラ・フォンテーヌの・b』より 「主人の食事を頸からぶら下げたイヌ」 1927-30 エッチング・紙 38.5×30.0 名古屋市美術館 前期
Ⅲ- 31 マルク・シャガール 『ラ・フォンテーヌの寓話』より 「おどけものと魚」 1927-30 エッチング・紙 38.5×30.0 名古屋市美術館 後期
Ⅲ- 32 マルク・シャガール 『ラ・フォンテーヌの寓話』より 「狐とすっぱいぶどう」 1927-30 エッチング・紙 38.5×30.0 名古屋市美術館 後期
Ⅲ- 33 マルク・シャガール 『ラ・フォンテーヌの寓話』より 「キツネとコウノトリ」 1927-30 エッチング・紙 38.5×30.0 名古屋市美術館 前期
Ⅲ- 34 マルク・シャガール 『ラ・フォンテーヌの寓話』より 「酔っ払いとその奥さん」 1927-30 エッチング・紙 38.5×30.0 名古屋市美術館 前期
Ⅲ- 35 アルフレッド・ル・プティ 『本日の花、果物、野菜』より 「表紙」 1871 リトグラフ・紙 27.7×22.7 神奈川大学図書館 前期
Ⅲ- 36 アルフレッド・ル・プティ 『本日の花、果物、野菜』より 「ブドウ、アンリ・ロシュフォール氏」 1871 リトグラフ・紙 27.9×22.7 神奈川大学図書館 前期
Ⅲ- 37 アルフレッド・ル・プティ 『本日の花、果物、野菜』より 「サクランボ、エマニュエル&エチエン・アラゴ氏」 1871 リトグラフ・紙 28.0×22.4 神奈川大学図書館 前期
Ⅲ- 38 アルフレッド・ル・プティ 『本日の花、果物、野菜』より 「ハツカダイコン、フェリックス・ピア氏」 1871 リトグラフ・紙 27.2×22.2 神奈川大学図書館 前期
Ⅲ- 39 アルフレッド・ル・プティ 『本日の花、果物、野菜』より 「アズキ、シュルシェル氏」 1871 リトグラフ・紙 28.0×22.4 神奈川大学図書館 後期
Ⅲ- 40 アルフレッド・ル・プティ 『本日の花、果物、野菜』より 「カボチャ、エルネスト・ピカール氏」 1871 リトグラフ・紙 27.7×22.5 神奈川大学図書館 後期
Ⅲ- 41 アルフレッド・ル・プティ 『本日の花、果物、野菜』より 「レタス、ジョアノー氏」 1871 リトグラフ・紙 27.3×22.3 神奈川大学図書館 後期
Ⅲ- 42 アルフレッド・ル・プティ 『本日の花、果物、野菜』より 「洋ナシ、ティエール氏」 1871 リトグラフ・紙 27.8×22.3 神奈川大学図書館 後期
Ⅲ- 43 オノレ・ドーミエ タンタロスの刧罰 1842 リトグラフ・紙 33.2×24.6 三重県立美術館  
Ⅲ- 44 オノレ・ドーミエ アナクレイオンの死 1842 リトグラフ・紙 33.2×24.6 三重県立美術館  
Ⅲ- 45 椿貞雄 春夏秋冬極楽図 1936 紙本墨画淡彩 66.0×161.0 千葉市美術館 後期
Ⅲ- 46 小川芋銭 畑のお化け 1929 絹本着色 42.2×57.5 個人蔵 前期
Ⅲ- 47 久保田米僊 七福万笑図 19世紀末頃 紙本着色・紙 32.2×48.3 星野画廊  
Ⅲ- 48 歌川国芳 戌午歳五月八日 土水性の人うけ二入 1858 木版・紙 37.1×25.1 ギャラリー紅屋 前期
Ⅲ- 49 歌川国芳 道外十二支 たいこうち午 1841頃 木版・紙 25.3×19.0 ギャラリー紅屋 後期
Ⅲ- 50 歌川国利 ねこのうなぎや 1883 木版・紙 35.9×24.0 青木コレクション(千葉市美術館寄託) 前期
Ⅲ- 51 歌川国梅 新ばん猫世帯ままこしらへ 1877 木版・紙 35.9×24.0 青木コレクション(千葉市美術館寄託) 後期
Ⅲ- 52 歌川広景 青物魚軍勢大合戦の図 1859 木版・紙 35.5×73.5 味の素食の文化センター 前期
Ⅲ- 53 歌川広重 太平喜餅酒多多買 1843-46 木版・紙 36.8×75.3 味の素食の文化センター 後期
Ⅲ- 54 歌川広重(三代) 流行浮世の写絵 1867 木版・紙 36.4×74.9 味の素食の文化センター 前期
Ⅲ- 55 落合芳幾 売買大合戦 1861 木版・紙 36.1×74.5 味の素食の文化センター 後期
Ⅲ- 56 歌川国貞 飲食養生鑑 19世紀半ば 木版・紙 50.6×36.6 味の素食の文化センター 前期
Ⅲ- 57 歌川国貞 房事養生鑑 19世紀半ば 木版・紙 50.8×36.2 味の素食の文化センター 後期

 

第Ⅳ章 フード・イン・ミュージアム

 本展のテーマである食べ物や食事は、美術館においては御法度のものです。食べ物は、作品保存の観点から、展示室に持ち込むことすらできません。また、多くの食品は、オリジナルのない複製として存在し、美術館が依って立つ「この世に唯一」という価値を冒す危険性をも秘めています。ところが、ここに作品を展示したアーティストたちは、そうしたタブーをむしろ利用することで、様々な作品を生み出してきたとも言えるでしょう。
 展示台の上には、本物の代わりに、様々な素材でかたどられた食べ物が並びます。それぞれの材質感の相違や、本物とのズレに加えて、モチーフ同士の意外な組み合わせなど、美術と食べ物が出会うことで生まれる表現の可能性は限りないものです。醤油やチョコレートで絵を描くという、一見よく似た素材や技法を用いていても、それぞれの文化的背景や日常生活における用途などと照らし合わせて見ると、その微妙な差異を味わうことができるでしょう。
 展示された作品はいずれも、普段見過ごしている問題へと目を向けさせ、あるいは、意識の底に沈んでいる根源的な感覚を呼び起こします。ときに難解と捉えられがちな現代アートも、食という最も日常的なテーマを媒介することで、誰しもの心に訴える可能性を秘めているはずです。

 

作品番号 作者 作品名 制作年 素材・技法 サイズ 所蔵先 展示期間
Ⅳ- 1 サルバドール・ダリ 皿のない二つの目玉焼きを背に乗せ、ポルトガルパンのかけらを犯そうとしている平凡なフランスパン 1932 油彩・板 16.0×22.0 豊田市美術館  
Ⅳ- 2 ルネ・マグリット 観念 1966 油彩・キャンヴァス 41.0×33.0 東京富士美術館  
Ⅳ- 3 メレット・オッペンハイム りす 1969 ガラス製のコップ、スポンジ、毛皮、金属棒 23.0×17.5×8.0 富山県立近代美術館  
Ⅳ- 4 マン・レイ ペシャージュ 1972 脱脂綿、プラスチック、木箱 35.0×23.0×11.4 富山県立近代美術館  
Ⅳ- 5 マン・レイ パン・パン(彩色パン) 1966 着色されたブロンズ
 
73.0×8.0×6.7 東京富士美術館  
Ⅳ- 6 マン・レイ ミスター・ナイフとミス・フォーク 1944 木、ネット、ナイフ、フォーク、ビロード 34.3×24.1×4.4 東京富士美術館  
Ⅳ- 7 アンディー・ウォーホル キャンベル・スープI 1968 シルクスクリーン・紙 各89.3×58.7 滋賀県立近代美術館  
Ⅳ- 8 パトリック・コールフィールド 食堂、台所、居間 1980 アクリル・キャンバス 179.1×179.1 栃木県立美術館  
Ⅳ- 9 ジョージ・シーガル コーヒーを注ぐウェイトレス 1973 石膏、木、金属、磁器 243.0×107.0×86.0 滋賀県立近代美術館  
Ⅳ- 10 クレス・オルデンバーグ グッド・ユーモア・バーのかたちをしたアルファベット 1970 オフセットリトグラフ・紙 73.5×50.7 滋賀県立近代美術館 後期
Ⅳ- 11 ロバート・アーネスン 受け皿に沈んでいくカップ 1971 陶器 15.0(直径) 京都国立近代美術館  
Ⅳ- 12 ジェリー・N・ユルズマン オール・アメリカン・サンセット 1971 ゼラチン・シルバープリント 17.7×23.0 京都国立近代美術館 前期
Ⅳ- 13 パラモデル トミ串 2006頃 トミカ、プライザー、ジオラママット、アルミ製トレイ、その他 5.0×25.0×19.0 和歌山県立近代美術館  
Ⅳ- 14 パラモデル トミ串 2006頃 トミカ、プライザー、ジオラママット、アルミ製トレイ、その他 5.0×21.0×15.0 和歌山県立近代美術館  
Ⅳ- 15 パラモデル トミ串 2006頃 トミカ、プライザー、ジオラママット、アルミ製トレイ、その他 5.0×21.0×15.0 和歌山県立近代美術館  
Ⅳ- 16 折元立身 BREAD‐MAN(TWO PERSON)  1992 写真 63.0×44.0 和歌山県立近代美術館  
Ⅳ- 17 熊谷登喜夫  《食べる靴》シリーズより 1984頃 赤と白の樹脂 14.0×23.5×8.0 公益財団法人 京都服飾文化研究財団 熊谷登喜夫氏寄贈  
Ⅳ- 18 熊谷登喜夫  《食べる靴》シリーズより 1984頃 小豆色の樹脂、ベルベッティーン 6.0×24.0×9.5 公益財団法人 京都服飾文化研究財団 熊谷登喜夫氏寄贈  
Ⅳ- 19 今道子 鮭と鰈とハイヒール 1987 ゼラチン・シルバー・プリント 43.8×43.1 東京都写真美術館 前期
Ⅳ- 20 今道子 キビナゴと下着 1989 ゼラチン・シルバー・プリント 51.0×41.1 東京都写真美術館 前期
Ⅳ- 21 今道子 コハダとブラジャー 1986 ゼラチン・シルバー・プリント 43.8×43.2 東京都写真美術館 後期
Ⅳ- 22 今道子 烏賊とスニーカー 1989 ゼラチン・シルバー・プリント 40.9×50.8 東京都写真美術館 後期
Ⅳ- 23 岡崎和郎 静物 1996 セメント    19.0×22.2×14.8 国立国際美術館  
Ⅳ- 24 大西伸明 Cyoko 2004 エポキシ樹脂、アクリル絵の具 0.7×7.5×16.5 和歌山県立近代美術館  
Ⅳ- 25 大西伸明 Syake 2004 エポキシ樹脂、アクリル絵の具 1.5×16.0×9.0 和歌山県立近代美術館  
Ⅳ- 26 上田薫 なま玉子G 1976 油彩、アクリル絵具・キャンバス 181.0×227.0 愛知県美術館  
Ⅳ- 27 伊藤隆康 モーニングセット 1965 アルミニウム   33.0×51.0×36.0 国立国際美術館  
Ⅳ- 28 草間彌生 最後の晩餐 1981 ミクストメディア 115.0×340.0×260.0 千葉市美術館  
Ⅳ- 29 ヴィック・ムニーズ ピクチャーズ・オブ・チョコレート:ダイバー(シスキンドにならって) 1997 チバクローム・プリント 150.0×119.8 金沢21世紀美術館  
Ⅳ- 30 小沢剛 醤油画(ジャン=フランソワ・ミレー) 2012 醤油、アクリルメディウム、醤油袋 100.0×80.0 作家蔵  
Ⅳ- 31 小沢剛 ベジタブル・ウェポン
-ととぼちと野菜のすき鍋トマトポン酢味、氷見
2008 タイプ Cプリント 113.0×156.0 作家蔵  
Ⅳ- 32 アナ・ハスマン 青空市場 2006 16ミリ(ビデオに変換) 9分 Studio Pangolin  
Ⅳ- 33 近藤亜樹 たべる地球 2012 油彩・パネル 227.3×436.5 高橋コレクション   

 

※前期展示:3月1日(土)~3月30日(日)/後期展示:4月1日(火)~5月6日(火・祝)

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