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表紙の作品解説
中谷泰《野の花》

田中善明

 中谷作品の魅力のひとつに「弱さ」がある。弱いというと、マイナスの印象をもたれるかもしれないが、絵画の世界では「強さ」以上に評価されてもよいものだと思う。くっきりとした輪郭線でかたちを描くほうが、そして鮮やかな色彩を多用したほうが見る者は強い印象を受けやすい。だが、守ってあげたくなるような儚(はかな)さや、繊細さはそこから生まれにくくなる。中谷泰の作品は、他の画家の作品と一緒に並べて展示すると、「弱さ」の良さが分かりにくいが、この画家の作品だけを展示すれば、限りなくその魅力に引きこまれていく。

 中谷泰は春陽会以外にも、入選落選のない日本アンデパンダン展へ毎年出品していた。「画家としての自分の生活をそのまま展覧会に延長してみたような作品、どちらかといえば、いまどきの展覧会にはむかないような臆病な作品がもっと出揃っていいのではないかとも思った。」と日本アンデパンダン展の出品作について1957年4月の『芸術新潮』誌上で語っている。画家として、うそ偽りのない表現を求めた真摯な姿勢がうかがえる。

(友の会だより93号、2013年11月30日発行)

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