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【特集展示 スペイン現代美術】

2013年9月10日(火)―12月23日(月・祝)

柳原義達記念館B室

展示について

 ミケル・ナバッロは、スペイン南東部、バレンシア地方に生まれました。美術学校では画家を目指して学びますが、1972年以降活動の軸足を彫刻へ移していきます。

 1973年から取り組んだ、「都市」シリーズにおいては、様々な形や大きさのパーツを組み合わせて都市の景観を模した作品を発表し、作家としての評価を確立しました。当初はヨーロッパの街並みを想起させるテラコッタを用いていましたが、1985年以降は、素材を鉄や鉛、アルミなどに変えてより硬質な印象となり、特定の場所に回収されない匿名性を帯びていきました。

 本作においても、まるで映画のセットのような光景が広がっています。それは、夢に見た未来都市の雄姿のようでもあり、失われた古代文明の残骸のようにも見えます。中心に屹立する塔と、それを取り巻くように規則正しく連なる構造物が生み出す対比は、「成長する都市」という現代生活の一断面を表してもいるとも言えるでしょう。

 また、それぞれの形を注意深く観察すれば、アンテナのようにあちこちに伸びる棒や、折り曲げられた管などに、古めかしいロボットのような愛着を覚えるかもしれません。都市の景色に私たちの姿を投影するこのまなざしについて、ナバッロは、このような言葉を残しています。

 「都市とは(それ自体)、身体のようなものです。というのも都市は、水平方向に幹線道路/ 動脈が張り巡らされているからです。垂直方向はといえば、壁や塔があります。(中略)人間の身体は、動脈や静脈、体液、心臓、中枢神経、外耳などを働かせています。それ故、あなたが都市を定義する時、同時に身体についても定義していることになるのです」。(グッゲンハイム美術館〔ビルバオ〕による作家へのインタビューより(2004年))

 

作家名 生没年 作品名 制作年 材質
ミケル・ナバッロ 1945- 歩哨都市 1993-97年 アルミニウム、亜鉛

 

ミケル・ナバッロ NAVARRO, Miquel

1945年 バレンシア州ミスラータに生まれる(9月29日)。
1964年〜68年

ドローイングを主とする画家として活動。

1968年

グループ展“Nuestro yo”(わたしたちの わたし)に参加〔バレンシア大学クラブ〕。
1969年 サン・カルロス高等美術学校〔バレンシア〕を中退。

1972年

彫刻に主軸を移し始める。最初の個展をガレリア・テッシーリ〔オビィエド〕にて開催。
1973年 「都市」シリーズ最初の作品を制作。

1974年 

 

最初の彫刻の個展「都市」を建築協会〔バレンシア〕にて開催。
絵画を諦め、彫刻に専念する。

1975年

La ciutat(都市)シリーズのインスタレーションをガレリア・ブアデス〔マドリード〕にて発表。

1980年

 

グループ展“Images from Spain”(スペインからのイメージ)〔グッゲンハイム美術館、ニューヨーク〕に参加。同展はその後アメリカ各地を巡回。

1986年

 

 

 

 

スペイン文化省より「造形美術賞」を受ける。
グループ展“Three Spanish Artists”(3人のスペインアーティスト)〔サーペンタイン・ギャラリー、ロンドン〕に参加。
フェラン・ガルシア・セビージャ、ホセ・マリア・シシリア、クリスティーナ・イグレシアスとともに、第42 回ヴェネツィア・ビエンナーレのスペイン代表を務める。

1989年

 

高さ約17メートルの彫刻“Minerva paranoica”(偏執症的ミネルバ)をパラシオ・デ・クリスタル〔マドリード〕にて発表。
1990年  IVAM〔バレンシア〕にて回顧展開催。

1998年 

 

 

個展“Miquel’s World” (ミケルの世界) が、シカゴ文化センター、モントレー現代美術館〔モントレー〕、近代美術館〔メキシコシティ〕に巡回。
グループ展「<移動>バレンシアの7人」〔三重県立美術館〕に参加。
2001年 クンストハレ・ファウスト〔ハノーファー〕にて個展開催。

2006年

グッゲンハイム美術館〔ビルバオ〕で開催された“Homage to Chillida”(チリーダへのオマージュ)に参加。
2008年  ポンピドゥー・センター〔パリ〕にて個展開催。

2011年

 

IVAM〔バレンシア〕にて、ジャーナリストのラファ・マリとともにアート・プロジェクト“12 ciudades del mundo”(世界の12都市)を企画。

 

三重県立美術館とスペイン美術

  三重県立美術館では、1992年にスペインのバレンシア州と三重県が友好提携を結んだことにちなみ、作品収集および展覧会企画の大きな軸のひとつとして、スペイン美術が重要な位置を占めています。

 1991年の『100の絵画・スペイン20世紀の美術 − ピカソから現在まで』展をはじめとし、1997年には、開館15周年と友好提携5周年を記念して、1980年代から活動してきたバレンシア出身の作家7名の作品を紹介する、『スペイン現代美術の動向〈移動〉−バレンシアの七人』展を開き、大きな反響を呼びました。その後も、2006年には、スペインが誇る20世紀彫刻の巨匠エドゥアルド・チリーダの、国内初の本格的回顧展を開催し、その芸術の圧倒的な存在感を多くの方に知っていただくことができました。

 また、コレクションの形成においても、1980年に購入したミロの《アルバム13》を最初の一歩とし、今ではその数200を超えるまでに成長しています。内容においても、ムリーリョ、ゴヤ、ピカソ、ダリなど、各時代を代表する作家たちの作品を購入し、海外の美術館や研究者などからも注目を浴びています。

 フランスやイタリアなどに比べて、スペインの美術に触れる機会は決して多くはありません。17世紀から現代に至るスペイン美術の多様なコレクションは三重県立美術館の大切な個性の一つです。これからも常設展示やコレクション展などで、その魅力を皆様にご紹介していきたいと存じます。

  

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