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開館30周年記念 コレクションの全貌展
江戸から現代まで、時間軸に沿って

 開館30周年記念の年度の最後の展覧会となった「コレクションの全貌展」。江戸期から現代までの美術を時間軸に沿ってご紹介しました。企画展示室と常設展示室すべてを使った広い空間で、美術の各分野を混在させながらたどる試みは、今回初めてのことです。そして、この構成を考える上で意図的におこなったことが二つありました。そのひとつが大正から昭和初期の時代を二部屋割り当てたこと、もうひとつが1930年代から1950年代の美術を一部屋にまとめたことです。

 三重県立美術館は開館以来近代洋画を中心に収集を続けてきましたが、中でも大正から昭和初期の時代の作品が点数的にも多く、質的にも良いものが揃っています。岡田文化財団から寄贈された村山槐多と関根正二の素描類をはじめ、萬鉄五郎《木の間よりの風景》、それに小出楢重《パリ・ソンムラールの宿》など重要な作品をいくつも挙げることができます。20世紀に入ってまもなく、西洋では美術表現に大変革が起こりましたが、そうした動きに共感した日本の若い美術家たちが自己の自由な表現に目覚めたのが大正期で、その後大正10年あたりからは西洋の新しい潮流を実際に見て確かめようと多くの画家が留学しました。欧米の美術に負けない独自のものを築き上げようと、エネルギーに溢れた重要な時期だからこそ、収集にも力が入りました。

 また、これまで戦前と戦後に区切って美術を紹介する方法に対して、この時期の連続性についても考察を行う必要があることから、敢えて戦争期をまたいだ展示を行いました。結果はと言いますと、それぞれお持ちになった印象が異なることは当然ですが、個人的には、隣りあわせとなった麻生三郎の戦後作品と吉原治良の戦前作品とが相互に響きあい調和していたように思えました。

(学芸員 田中善明 友の会だより no.91 2013.3)

 

友の会だより文集抄

 

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