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美術館 > 刊行物 > 学芸室だより > 新聞連載 > 「光州ビエンナーレ」に脱帽 カフェ日和第25回 井上隆邦

 

「光州ビエンナーレ」に脱帽

 井上隆邦


 国際的な現代美術の祭典「光州ビエンナーレ」を久方ぶりに見てきた。韓国南西部に位置し、民主化運動の拠点だった光州広域市で開催されているビエンナーレは九回目を迎える。今回も、国内外から最先端を行く作品が数多く出品されていた。
 ビエンナーレ会場を訪れた当日、小学生や中学生の一団と数多く出くわし、驚いた。多分学校単位でビエンナーレを見に来ていたのであろう。若い時から最先端の美術に触れておくことは無駄ではない。美術の国際的な潮流を知る上でも有意義なことだ。
 光州ビエンナーレは、国際的な祭典ゆえ展示内容を決めるキュレーター(学芸員)にも外国人が積極的に起用されている。また、会期中には世界各地から美術関係者、メディアや画商なども訪れ、実に華やかだ。
 十七年ほど前、光州ビエンナーレの一回目を見る機会があった。人口百四十万人規模の都市とはいえ、地方都市での「尖がった」芸術の祭典は、いささか冒険的とも思えたが、今では東アジアを代表する事業としてすっかり定着した。関係者の「力業」ともいえる努力に脱帽するほかない。
 今回の訪問で特に印象に残ったのは、広報スタッフの充実ぶりだった。訪問に先立ち、Eメールでのやり取りをしたところ、必要な情報を瞬時に送ってくれるなど素早い対応が目立った。アメリカ留学組であろうか、その英語力は舌を巻くほどで、ハングルのできない筆者にとっては、またとない助っ人となった。
訪問は三日間という短いものだったが、チェさんを始めとする広報スタッフのお蔭で内容の濃い取材が実現した。カムサハム二ダ(ありがとう)。

(朝日新聞・三重版 2012年11月17日掲載)

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