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常設展のみどころ ―LED照明と学芸員が使う「魔法」について―

 当館では現在、1年に5〜6本の企画展と、年4期に分けての常設展(美術館のコレクション、柳原義達の芸術)を開催しています。展覧会の規模によりかける時間は異なりますが、企画展は概ね3日間から1週間、常設展は丸1日かけて展示作業を行います。

 作業の大まかな流れは、「作品を展示室に運ぶ」、「作品の配置を決める」、「壁やケースの中に取り付ける」、「キャプションをつける」、「照明を取り付け調整する」、「全体を確認し微調整する」といったところですが、では問題です。一番時間のかかる作業は一体何でしょうか?

 答えはひとつに絞れないのですが、意外にも時間がかかるのは照明の取り付けと調整の作業です。美術作品は光や熱によるダメージに弱いため、作品保護の点から照度のめやすが定められています。しかし、あまりに暗い照明の下では、作品を鑑賞すること自体が難しくなってしまいます。作品を守りつつ、鑑賞に適した明るさを確保する。このバランスをとるのに、毎回大変気を遣います。さらに、ガラス面にスポットライトが反射してまぶしくないか、ケースをのぞいた時、作品に鑑賞者の頭の影が落ちて見えづらくならないか、全体として見たときに極端に暗い/明るい場所ができていないかなど、確認すべきことはたくさんあります。

 当館では今年4月から新たにLED照明を導入しました。作品の色褪せや変色の原因となる紫外線量が少ない、放射熱が少なく温度の上昇を抑えられる、長寿命で消費電力が少ない、といいことづくめ。自然光に近く透明感のある発色で、これまで見えなかった、作品が持つ色を引き出すこともできるようになりました。

 しかし、ただ取り付ければよいわけではなく、従来通り照度を測り調整し、色味を調整し、影が出ないか、まぶしくないか、と作業には時間をかけています。照明作業は、作品の魅力を引き出す魔法のようなものです。覚えたての魔法(=LED照明)は使いこなすのに少し時間がかかりそうですが、作品をどんな風に変身させられるか、日々魔法の杖(=LED照明のリモコン)を振り特訓する毎日です。

(学芸員 原舞子 友の会だより no.90 2012.8) 

 

友の会だより文集抄

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