このページではjavascriptを使用しています。JavaScriptが無効なため一部の機能が動作しません。
動作させるためにはJavaScriptを有効にしてください。またはブラウザの機能をご利用ください。

友の会だより 87, 2011.7

 

表紙作品解説

福田繁雄(1932-2009)《SHIGEO FUKUDA展》

1975年 103×72.8cm シルクスクリーン
DNP文化振興財団所蔵
©  Shigeo Fukuda  ©  Photo DNP Foundation for Cultural Promotion

福田繁雄《SHIGEO FUKUDA展》1975

 

 福田繁雄のポスターにおける視覚トリックは、たとえば、一見写実的に描きこまれた情景の中に忍びこませるというような形をとってはいません。むしろ、直截といってよいほどの集中性をもって呈示されることがしばしばです。

 本作品でも、上から下りる白い部分に注目すれば女性(?)の脚と靴、下から上がる黒い部分に注目すれば逆さになった男性(?)の脚と靴が見えますが、両者の関係は自然な空間の内に配されているわけではなく、一方に注目すれば他方は地として沈むという、図と地の相互反転をトリックとして仕掛けていることは、ただちに見てとれることでしょう。

 ただ、トリックに気づけば作品の面白さがそれで尽きるというものではありますまい。トリックが単純であるだけに、錯覚を引き起こす視覚の不思議さを感じさせずにいません。

 そして視覚の不思議さを抽出するためにこそ、トリックは単純でなければならず、また集中性を持って処理されなければなりませんでした。白い脚と黒い脚のリズミカルな反復、単純化されてはいるが無機的ではない曲線を描くシルエット、平坦であるがゆえにかえって、じっと見つめれば吸いこまれそうな白と黒それぞれのひろがり。上に白、下に黒を配した構図は重くなりそうなところを、上下反転によって無重力化した上で、下端に文字を小さく白抜きすることによって、上と下、白と黒がばらばらにならないよう構図を引きしめると同時に、軽快さをもたらしています。

 トリックの機能を最大限に活かすために、単純化した要素を配する構成の厳格さ、この点にこそ福田デザインの核を見出せるのではないでしょうか。

 石崎勝基(三重県立美術館学芸員)

 

 

ユーモアのすすめ 福田繁雄大回顧展のページへ

 

ページのトップへ戻る