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友の会だより 87, 2011.7

 

ユーモアのすすめ 福田繁雄大回顧展

2011年7月9日(土)〜9月4日(日)

 

 福田繁雄の著書に次の一節がありました;「視覚伝達の最大公約数を〈喜数〉に掛けて、分母は遊戯性。錯視の公式で割り切れない時は、格調をマイナスしてユーモアを掛け、そこで駄数が出たら諷刺で割ってみることで、作品の答えが見えてくる」(福田繁雄、「喜数の分母は遊」、『デザイン快想録』、誠文堂新光社、1996、p.56)。視覚伝達、遊戯性、錯視、ユーモア、諷刺と、福田のデザインに関わるキーワードが目白押しです。その上で駄洒落にも事欠きません。〈喜数〉は基数にかけているのでしょう、〈駄数〉は端数でしょうか。

 グラフィック・デザイナーとしての福田の主な持ち場は、今回約200点の展示を予定しているポスターにあると見なしてよいでしょう。その一端については表紙図版解説でふれるとして、福田は平面だけでなく、少なからぬ立体作品を手がけました。今回展示予定の約100点をはじめとして、屋外に設置された作品も少なくありません。福田の立体制作は、早くも1963年以降、我が子(昨年開催の『トリック・アートの世界展』で作品が展示された福田美蘭です)のために作った玩具にさかのぼります。それら玩具、あるいは《使えない食器》連作など小品も遊戯性満載ですが、比較的規模の大きい作品では、トリックを成立させるためにしばしば、福田いうところの〈一点視点〉が必須の仕掛けとして組みこまれており(特定の視点から見た時だけ、特定のイメージが浮かびあがる)、福田における平面と立体の関係を解きほぐすための手がかりと見なせるでしょうか。

 また福田は、1962年以来、少なからぬ著作を残しています。そこでは、たとえばトリック・アートのプロモーターという姿をとおして、視覚によるコミュニケーションをめぐる思考がうかがわれることでしょう。

 最後に、著書から別の一節を引いておきましょう;「〈視覚の仕掛け〉。これが視覚造形のすべての根底にある。どう見せたいのか、どう見えるのか、視覚デザインとなると、それを超えて〈視覚の罠〉となる。見えるようにつくる――のである」(福田繁雄、「センスのビタミン《おいしそうな嘘》」、同上、p.58)。視覚造形と視覚デザインの区別に、福田の姿勢を読みとることができるかもしれません。

石崎勝基(三重県立美術館学芸員)

 

 福田繁雄《RIO92 第2回国際連合環境開発会議》1992    福田繁雄《消えた柱》1984

福田繁雄

《RIO92 第2回国際連合環境開発会議》 

1992年 

オフセット 

103×72.8cm 

DNP文化振興財団所蔵

© Shigeo Fukuda

© Photo DNP Foundation for Cultural Promotion

(cat.no.166)

 

福田繁雄

《消えた柱》 

1984年 

木工 

85×95×70cm 

二戸市シビックセンター福田繁雄デザイン館蔵 

© Shigeo Fukuda

Photo courtesy of Shizuko Fukuda

(cat.no.249)

 

 

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