曾我蕭白 《竹林七賢図(旧永島家襖絵)》 1764年頃
曾我蕭白(1730-1781)
1764(明和元)年頃
紙本墨画
各172×86.0cm
襖八面からなるこの作品は、元来、四面ずつが直交して配置されたと考えられている。左四面と右四面は対照をなすべく構想されており、右の茅屋(かやのや)と左の屋外、右では人物が密集、左はまばらだ。そして背を向けた高士から左端の正面像へと、雪にたわむ竹が視線を導く。
左右を橋渡しするのは、竹とともに、人物の衣の激しく濃い筆致から、周囲を暗くすることで雪を表す外暈(そとぐま)にいたる、さまざまなに段階づけられた墨の用法であろう。特に外暈は地の白を図の雪へと転換することで、左右の対比を受け止める空間を生み出している。
そして用墨の濃淡の層をも、竹は貫く。枠からはみ出しそうなアーチは、空間を押し広げる力を通過する橋なのである。 (石崎勝基・中日新聞 1990年8月3日)
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