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美術館 > 刊行物 > 友の会だより > 1984 > 曾我蕭白《林和靖図屏風》 東俊郎 友の会だより no.7 1984.11.25

友の会だより所蔵品解説

曾我蕭白《林和靖図屏風》

曾我蕭白(1730-1781)
《林和靖図屏風》
1760(宝暦10)年
六曲一双(向かって右隻)
紙本墨画
172.0x364.0㎝

蕭白《林和靖図》右隻


 曾我蕭白は享保15年(1730)に生まれ、安永10年〈1781)に没した。池大雅とほとんど同時代人であり、じじつ、剛直疎放な蕭白に対して天真柔軟な大雅と画風は対照的だが、その親交には深いものがあったという。生前まったく不遇で、世間と人とに背をむけた偏屈者だったという従来のイメージは最近修正されつつあるようだが、この居籠りのひとの圭角だらけの白眼が爽かな青眼に変わることは、大雅とともにすごす清談の一刻以外そうそうあったとは考えられない。

 この蕭白の画は生前まったく知られていなかったわけではないが、大雅の声望が死後も日を追って高まってゆくのとここでも対照的に、漸時忘れられて、その再評価、その復活がはじまったのはほんのここ10数年のことである。もともと物質としての性格がうすい、それゆえ精神性を前面にだしやすい墨画のなかにあって、プラッシュ・ワークそのものである部分によって全体を異化する彼の画はここにきてはじめてその現代性をあらわしたともいえる。

(東 俊郎 学芸員)

友の会だよりno.7 1984.11.25

→作家別記事一覧:蕭白 

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