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友の会だより文集抄

 

『愛知・岐阜・三重三県立美術館協同企画 ひろがるアート〜現代美術入門篇〜』展

2010年10月23日〜12月19日

 東海圏の三つの県立美術館が協力しあい、それぞれの所蔵品を用いることで組みたてるシリーズも、今回で五回目となりました。本展の内容については、図録HILL WINDなどをご覧いただくとして、ここでは、展示作業が終了した後で気がついた点にふれてみましょう。展示室ごとに変わる、文字どおりの意味での色合いの話です。

 本展を構成する五つのパートの内〈物質:変容の種子〉にあてた第二室が、手前前半は真っ黒、奥後半が褐色系になることは、当初から想定していました。しかし〈人間像の変容〉にあてた第一室前半が、ウォーホルをのぞいて、ベージュないし灰色でほぼ統一されるとは予想していませんでした。第一室後半の〈ひろがる平面〉は色とりどりになってくれることを期待しており、これはある程度実現したと思うのですが、赤系統が存外強く出ています。第三室の〈平面再訪〉は一見ばらばらで、といって〈ひろがる平面〉のパートほどにぎやかではありません。あえていえば手前前半では色味が少なく、奥後半が濃いめで、かつ赤が重要な役割をはたしています。その上で、手前と奥を白が結びつけているといっては、読みこみすぎでしょうか。第四室では、窓を開けてその前に、エピローグにあたる野村仁の透明なガラスの作品を置きたいと最初から考えていました。〈物質:変容の痕跡〉に配した作品たちは、褐色ないし灰色系が主調をなしていますが、窓を開けたためか、第一室前半とは雰囲気がずいぶん違うようです。くわえて第一室冒頭の荒川修作における白と、野村仁の白大理石が円環をなすといっては、しかしこれも、単なるこじつけでしかないのでした。

 部屋ごとに色が変わるというとポーの短編「赤死病の仮面」が思い起こされますが、ともあれ、一点一点の作品と向きあうのはもとよりとして、展示室から展示室へと変化する雰囲気を味わうという見方も一興かもしれません。

 

石崎勝基(三重県立美術館学芸員)

 

友の会だより、no.85、2010年12月発行

  

ひろがるアート展会場風景+出品リスト

 

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