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美術館 > 刊行物 > 学芸室だより > 新聞連載 > 芸術祭 東アジア勢が健闘 井上隆邦

芸術祭 東アジア勢が健闘

 最先端の現代美術を紹介する国際芸術祭は今日、世界の三十から四十の都市で開催されている。互いに国際社会での発信力を競っており、個性と独自性の追求に余念がない。

 二年に一度開催される国際芸術祭がビエンナーレ、三年に一度のものがトリエンナーレと呼ばれている。2001年に始まった横浜トリエンナーレは、思い出の多い事業だ。国際交流基金に勤務していた頃、日本での国際芸術祭の開催が必要と考えていた筆者は、上司だった中山恭子さん(現参議院議員)と良く議論したものだ。その後、中山さんの獅子奮迅の活躍で横浜トリエンナーレがスタートした。

 海外で開催されている国際芸術祭の中で最も歴史のあるのはイタリアのベネチア・ビエンナーレだ。その歴史は百年以上と長い。20世紀のアート・シーンに登場するような著名な作家は少なからずこのビエンナーレに参加している。横浜での開催に際してベネチアが手本となったことは言うまでもない。

 近年、国際芸術祭の分野で注目されているのが東アジア勢だ。韓国では光州や釜山、中国では上海や広州などで開催されている。台湾でのビエンナーレも有名だ。経済のみなら文化面でも台頭著しい東アジア勢の健闘ぶりが際だつ。

 日本では横浜以外に新潟・妻有や福岡でも開催されている。また今年から愛知や瀬戸内海でも始まった。こうした国際芸術祭が今後、回を重ねるごとに充実し、世界の“強豪”を相手に存在感を示すことができれば、素晴らしいことだ。今後の展開に期待したい。

(朝日新聞三重版 2010年10月16日(土)掲載)

 

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