ごあいさつ
三重県立美術館は、1982年9月に開館、本年開館10周年を迎えることとなりこれを機に、『所蔵品目録-1992年版』を発行することにいたしました。この所蔵品日録は、開館5周年の1987年秋に刊行いたしました『所蔵品目録-1987年版』の続編にあたり、1987年10月から現在までに新たに収集された作品が収録されています。
開館時に約360点であった三重県立美術館の収蔵作品は、現在では約1500件、3500点余りを数えております。こうした作品収集は、(1)三重県出身、またはゆかりのある作家の作品、(2)日本の近代化過程における作品を絵画を中心に系統的に収集するとともに、日本の近代美術と関係のつよい海外の作品、(3)素描、下絵、水彩等、という基本方針に基づいて進められてきました。また、近く三重県とスペイン・バレンシア州との姉妹提携が結ばれること等を機縁として、1992年度からは、新しくスペイン美術が収集の基本方針に加えられました。
海外・国内の例を見ても、すぐれた美術館コレクションを形成するには長い時間を必要とし、10年余という歳月はむしろ短い歴史にすぎません。三重県立美術館の収蔵作品が、これからも更に質、量ともに充実されねばならぬことはいうまでもないことですが、1987年版所蔵品目録と本書とにおさめられる、この10年余に収集された作品群は、将釆にわたるコレクションの基盤をなすものと位置づけることができると考えられます。
最後に、貴重な作品をご寄贈いただきました(財)岡田文化財団、美術家、ご所蔵家をはじめ、三重県立美術館の活動をこ支援くださる関係各位にあつくお礼申し上げます。
1992年10月
三重県立美術館長
陰里鐵郎