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あいさつ

 中村彝は,明治時代の素朴な西洋崇拝が影をひそめ,日本の洋画壇が主体性に目覚め,ようやく日本独自の洋画を開拓しつつあった大正時代を代表する逸材として知られています。求心的な自己表現をもとめて傾倒したレンブラントの影響を感じさせる初期の自画像,ルノワール風の官能的な色彩美にあふれる中期の女性像や有名な「エロシェンコ氏の像」,そして晩年,理知的で沈静したセザンヌの構成美の世界への没入をみせる静物画へと,彝の作風は,よりどころを変えながら年を追ってめまぐるしく変貌します。しかし,ヨーロッパを実地に体験したことは一度もなく,そればかりか,宿痾の結核のため生活の大半を病床に過ごした彝の絵には,変転する外貌にもかかわらず,心の底でじっと見据えた“悠久感”“無限感”が深くにじみでています。

 本年は中村彝の歿後60年にあたりますが,三重県立美術館と神奈川県立近代美術館では,これを記念して,その全体像を展望する「中村彝展」を茨城県立美術博物館の全面的な協力を得て開催することになりました。

 この展覧会の開催にあたり,貴重な作品を快くご出品いただきました全国各地の美術館,博物館,個人所蔵家の皆様,ならびに暖かいご支援を賜りました関係各位に,厚くお礼申し上げます。

1984年10月

三重県立美術館
財団法人岡田文化財団
中日新聞
神奈川県立近代美術館
東京新聞

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