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美術館 > 刊行物 > 展覧会図録 > 1991 > あいさつ 100の絵画・スペイン20世紀の美術展図録

あいさつ

 スペインはその長い歴史の中で,ベラスケスやゴヤなど数多くの優れた芸術家たちを輩出した創造性溢れる国です。20世紀に入っては,ピカソ,ミロをはじめ,不世出の大画家たちの活躍によって世界の美術界をリードすることになりました。スペイン内乱,それに続く第二次大戦の困難な状況は,芸術家たちに厳しい試練を課すことになりましたが,戦後の美術界には,かつての伝統を引き継ぎながら,フランスのアンフォルメル運動に呼応するタピエスなど新しい国際的な画家たちが現われます。彼らは戦後の美術界で情報面における中心をなしたアメリカ美術との関連を示す一方で,国内では独自の表現を模索・展開しました。こうした豊かな芸術的風土は,特に,1970年代後半以来,続く若い世代の作家たちを輩出して,大きな盛りあがりを示しています。

 本展に出品される作家としては,まず,今世紀初頭から息の長い制作活動を展開したピカソ,グリス,ミロ,ダリ,ドミンゲス,グラネイといった黄金期の巨匠たちがあげられます。続いて,第二次大戦後に活躍したタピエス,クラベ,ミリャーレス,サウラなどスペイン独自のアンフォルメルを形成した作家たち,アロヨ,エキーポ・クロニカなど諷刺性の強いポップ・アート,センペレ,アシンスなど幾何学的傾向の作家,独自のイメージ構成によって大きな影響を与えたゴルディーリョなどが,スペイン現代美術の中核をなす層といえましょう。さらに,カンパーノ,グラウなど新表現主義に連なる作家たちや,ガルシア・セビーリャ,バスケスやディス・ベルリンなどの若い世代の画家たちまで含めて,36人の日本およびスペインに所蔵されている絵画100点によって,20世紀スペイン美術の世界を紹介するものです。

 本展開催にあたり,ご協力いただきました所蔵者,ならびにご後援いただきましたコロンブス500年記念委員会,スペイン大使館,(財)岡田文化財団ほか関係各位に厚くお礼申し上げます。


1991年10月

主催者

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