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V.旅の空にて

 深水は、生涯を通じて国内外をたびたび旅行しました。戦前には、1922年(大正11)と1939年(昭和14)に中国大陸、1943年(昭和18)には東南アジアへ行っています。また、太平洋戦争下、東京が空襲に見舞われるようになった1945年(昭和20)3月から終戦後の1949年(昭和24)8月までは長野県小諸に疎開しました。戦後は、ヨーロッパ、アメリカ、南米、インドネシアなど海外へ何度か脚を伸ばしています。また、国内各地への旅行も頻繁に行われていたことはいうまでもありません。

 行く先々で深水は精力的に写生をしています。そうした旅先、滞在先で深水の眼は様々なものに向けられました。風景はもちろん、動植物、人々の営み、ご当地の名物などあらゆるものを深水は描き留めています。それらのデッサンに、この画家の旺盛な好奇心と的確な描写力が示されていることはいうまでもありません。また、風景作品には独特の抒・ッI感覚が漂っています。それは、非日常的な場に身を置いた旅情によるものかもしれません。この抒情性は、伊東深水という画家が持つ無視すべからざる特質の一つではないかと思われます。

 これら風景デッサンを基に作品が制作されることも珍しくありませんでしたし、旅先のデッサンを紹介する展覧会も度々開催されてきました。一般には美人画家といわれる深水が、風景表現にも強い関心を抱いていたことは、この画家を理解する上で忘れてはならない事柄でしょう。

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