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美術館 > 刊行物 > 展覧会図録 > 1987 > 用語解説/キュビスム 大原美術館所蔵品展-20世紀・世界の美術-図録

キュビスム (Cubisme)

ピカソとブラックによって始められたキュビスムは,今世紀初頭の最も重要な芸術運動の一つといえる。それは1907年のピカソの「アヴィニヨンの女たち」に端緒があるといわれる。キュビスム(立体主義)とは,ルネサンス以来の遠近法などを利用した空間表現によらずに,物の形態を二次元の画面に総合的に表現しようとする試みであった。それは形態を面の要素へと分解し,画面上に再構成するもので,物の見方の転換と,絵画に新しい可能性を開いていった。キュビスムは,その試みのなかからパピエ・コレという新しい技法を発生させたり,彫刻にも大きな影響を与えるなど20世紀美術の展開にもつ意義は大きい。

友の会・ミニ用語解説集

ミニ用語解説

キュビスム(立体派)

ピカソとブラックに始まるといわれるキュビスムの運動は、ルネサンス以来の写実的な遠近法に基づいて行われてきた西洋絵画に革命的ともいえる大きな変化をもたらした。「キュビスム」という言葉は、1908年に開催されたブラックの個展の際に評された「立方体」という言葉に内来する。

「自然を円筒、円錐、球として扱う」というセザンヌの有名な言葉は、ピカソたちに多くの示唆を与えることになる。また、アフリカ黒人彫刻の造形からも刺激を受けたピカソは、1907年にキュピスムの出発点ともいわれる「アヴィニヨンの娘たち」を描いて人々を驚かせた。

この作品において、対象は一つの視点から遠近法的に見られるのではなく、複数の視点からとらえられ、得られた複数の要素が画面上で再構築されることによって、従来の絵画では考えられない新たな絵画世界が創造された。キュビスムは、その後分析的キュビスム、総合的キュビスムの段階へと展開するが、絵画のみならず彫刻や建築、デザインなどにも及んだ今世紀の芸術運動中最も重要な運動であり、大正期から昭和にかけてのわが国の画家たちにも多くの影響を与えている。

(毛利伊知郎・学芸員)

友の会だよりno.28, 1991.11.26

合体版インデックス 穴だらけの用語解説集

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