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第3章 アメリカ滞在と作風の変化

1966年、元永定正はジャパン・ソサエティの招聘により渡米し、ニューヨークでスタジオを借りて制作を始めた。それまで日本で制作していた絵具を流した作品は、自然の力を借りて偶然のかたちの面白さを表現できる方法であったが、今度は機械が絵具を吹き出すエアブラシを使った方法へと転換。それにより、描くかたちにも新しい表現がみられるようになった。

ニューヨークでエアブラシによる表現と出会った元永は、《作品N.Y.No.1》(cat.no.47)に見られるような、しっかりとした輪郭を持ち、かたち自体が内側から発光するかのように周辺にグラデーションが施された作品が描き始めるようになる。絵具を流した作品のような盛り上がった立体感のあるマチエールとは正反対の、ムラのない平坦な色面。しかし、かたちの周辺に施されたグラデーションにより画面には奥行きが加わり、描かれたかたちに一層の存在感がもたらされるようになった。かたちは70年代以降も進化をとげ、次第にキャラクター性を帯びたものへと展開してゆく。

しかし、絵具の溶き方や流し方によってかたちは変化する。イメージとは異なるところへ流れた絵具は拭き取られ消されることもあり、または新たな広がりを生み出すこともあったという。

作品タイトルにおいても、絵具流しの時代には「作品」とだけ付けられているものが大半であったのに対し、特に70年代後半からは色や形を表すひらがな表記へと変化する。こうしたこともまた、難解なものと捉えられがちな抽象絵画のイメージを一新し、親しみやすさを与えている。

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