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ごあいさつ

20世紀前半のイタリアは,第一次大戦の痛苦をこうむり,その後,日本やドイツと同様に,ファシズムの狂気に導かれて,第二次大戦の悲惨な泥沼にのめりこむという経験を味わいました。モランディが絵を描きはじめたのは1910年頃ですから,画家として,激動おさまらぬ半世紀とともに明け暮れたことになりますもしかし,世界をゆるがした狂乱も,モランディの絵の中には一歩たりとも踏みこむことはできませんでした。初めのうちこそセザンヌやキュビスム,イタリア未来派の美術運動や形而上絵画といった前衛主義の影響も受けたモランディですが,少しずつ社会的喧騒から遠ざかり,自分のまわりに孤独の防塁をめぐらせ,静物画と風景画ばかりを描きつづけることになりました。

生まれ故郷のポローニャを終生はなれず,独身の生涯をそこで静かに過ごしました。絵も生活も,穏やかで,また純粋で,単純で,深く瞑想的でありました。静物と風景という限られた主題の繰り返しの中に,色彩と形の繊細に響きあう楽想を彼は生みだしました。それは切れ目ない静かな一本の旋律となって,絵の深みへと到達しています。モランディは絵画の瞑想によって,イタリア美術の巨大な伝統を現代に受けつぐ役割りをはたし,同時にまた,暗澹とした世界の惨禍にひそかな異をはさんだ画家ともなりました。モランディの絵画は20世紀の創造した最も美しいものの一つといえます。

本展には油彩80余点,水彩15点,デッサン15点,エッチング20点が出品されておりまサもモランディの初期から晩年にいたる画業の必然性にみちた静かな変化を,優れた作品によってたどることのできる回顧展であります。

開催にあたり,こころよく御所蔵作品の貸出しに応じて下さいましたイタリア国内の美術館,画廊,個人所蔵者の皆様に感謝申しあげるとともに,展覧会コミッショナーの責務をお引き受け下さいました西ロンパルディア州文化財保護官ロザルバ・タルディート女史,およびミラノ市古代・近代・現代美術館館長のメルチェデス・ガルベーリ女史,さらに本展実現にご協力いただいたACIG(伊日現代美術センター)所長のジュゼッペ・ニッコリ氏をはじめ関係各位に,深い謝意を表明いたします。

主催者

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