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美術館 > 刊行物 > 展覧会図録 > 2000 > ごあいさつ マッキントッシュとグラスゴースタイル展図録

ごあいさつ

19世紀末から20世紀初頭のヨーロッパでは,アーツ・アンド・クラフツ運動,アール・ヌーヴォー,ウィーン分離派などに代表されるさまざまな芸術運動が繰り広げられていました。これらの芸術運動は,美術,工芸はもとより,建築,グラフィック・デザインと幅広いジャンルに及び,当時のヨーロッパを華やかに彩りました。

この時代に「大英帝国第二の都市」の栄華を誇っていたスコットランドのグラスゴーでは,独創的な芸術家やデザイナーたちが,斬新な様式-グラスゴー・スタイル-を生み出し,国内外に大きな波紋を広げました。その中心となったのが,チャールズ・レニー・マッキントッシュ(1868-1928)であり,彼にジェイムズ・ハーバート・マックネア,マーガレットとフランシスのマクドナルド姉妹の3人を加えた「ザ・フォー(4人組)」でした。

建築家マッキントッシュは,それまでの伝統的な建築様式の強い影響を受けながらも,機能性や明快さを追求し,20世紀モダニズムの先駆けとなりました。しかも彼の特異な才能は建築に留まらず,家具,金属工芸,ポスターなど,日常空間に関わるさまざまなデザイン分野から,水彩画にまで発揮されています。代表作「グラスゴー美術学校」をはじめ,彼の建築作品で注目されるのは,テーブル,椅子はもちろんのこと,照明器具や平面装飾に至るまで,すべてが彼自身の美意識で統一され,調和のとれたデザイン空間が生まれていることです。

本展は,マッキントッシュの多方面にわたる才能を余すところなくご紹介するとともに,彼と「ザ・フォー」を中心に,ジェシー・キング,アン・マクベス,ジェシー・ニューベリ,ジョージ・ウォルトン,タルウィン・モリスなど,グラスゴー・スタイルを確立したデザイナー,アーティストたちの業績をたどり,グラスゴーで培われた先駆の精神を再発見しようとする,日本で初めての試みです。

本展の開催にあたり,全面的なご協力を賜り,多くの貴重な作品をご出品いただきましたグラスゴー・ミュージアム(グラスゴー市),世界有数のマッキントッシュ・コレクションを誇るハンタリアン美術館(グラスゴー大学),グラスゴー美術学校,グラスゴー市文書局,スコットランド国立博物館.豊田市美術館,大阪市立近代美術館建設準備室,並びに個人所蔵家の方々に厚くお礼申し上げます。また,ご後援を賜りましたブリティッシュ・カウンシル,グラスゴー市,社団法人日本建築家協会,社団法人日本建築学会,社団法人日本グラフィックデザイナー協会,社団法人日本インテリアデザイナー協会,そして本展実現にご協力いただきましたすべての方々に感謝申し上げます。最後になりましたが,本展をご監修いただきましたロジャー・ビルクリフ氏および藤田治彦氏のご尽力に深甚なる感謝の意を表します。

主催者

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