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美術館 > 刊行物 > 展覧会図録 > 2008 > 森村泰昌 石崎勝基 液晶絵画展図録

森村泰昌
Morimura Yasumasa

1951年大阪生まれ、日本

1971年から75年まで京都市立芸術大学に学ぶ。近年『卓上のバルコネグロ』(青幻社、2006.1)にまとめられたオブジェの写真を経て、1985年ゴッホの自画像の顔の部分を自らの顔と入れ替えた大型カラー写真を発表する。これが現在にいたるセルフ=ポートレートによる作品の嚆矢となった。以後過去の美術史に材をとった一連の作品――人物だけでなく静物の場合もある――、女優シリーズや近年では三島由紀夫をモティーフとするなどさまざまな形で展開されることになる。そこではイメージを見る者と見られるイメージとの間に見る者でもあれば見られるイメージとも化する森村のイメージが入りこみ、性差をはじめとする三者それぞれの文化上の足場を揺らがせつつ、そのことでなおさら、三者間の視線をたえまなく交錯させ続けてやむことがない。

一連の《フェルメール研究》は、2004年にフェルメールの《画家のアトリエ(絵画芸術)》(美術史美術館、ウィーン)が日本で展示された際(『栄光のオランダ・フランドル絵画展』、東京都美術館、2004.4.15-7.4;神戸市立博物館、7.17-10.11)NHKが制作した『新日曜美術館』(2004.6.6放映)への参加を機に制作された。アトリエの再現、ビデオ、写真のセットからなる展示空間では、モデルと彼女を描く画家、両者をあわせた画面を描く画家と観者の間で行き交う視線のありようが、制作過程も考慮に入れつつ呈示される。それはある意味で、フーコーの『言葉と物』冒頭におけるベラスケスの《ラス・メニーナス》分析に対応したものと見なせるかもしれない。また本展ではフェルメールの《真珠の耳飾りの少女》(マウリッツハウス美術館、デン・ハーグ)に材をとった新作があわせて展示される。


主要関連文献:

『森村泰昌展 美に至る病-女優になった私』図録、横浜美術館、1996.4
『森村泰昌[空装美術館]-絵画になった私』展図録、東京都現代美術館、京都国立近代美術館、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、1998.4
森村泰昌、『美術の解剖学講義』、ちくま学芸文庫、2001.2
森村泰昌、『「美しい」ってなんだろう? 美のすすめ』、理論社、2007.3
『森村泰昌-美の教室、静聴せよ!』、理論社(熊本市現代美術館、横浜美術館)2007.6


公式サイト

http://www.morimura-ya.com/

(石崎)

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