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ごあいさつ

風景画はもっともなじみ深い絵画の分野ですが,この芸術は18世紀後半から19世紀にわたり英国でめざましい展開を経て今日に引き継がれています。

西洋での風景画の歴史は東洋の山水画と比べて,それほど古いものではありません。17世紀にオランダでハールレムの画家ロイスダールたちにより,また一方ではローマでシャンパーニュ地方からやってきたフランス人クロード・ロランにより,近代絵画として確立された風景画ですが,18世紀の英国では依然として肖像画に比ベマイナーな芸術とされていました。また17世紀後半より英国の貴族の間で盛んになったイタリアヘの大旅行「グランド・ツアー」により,ローマのカンパーニアや廃墟が描かれた古典的風景を理想とする風潮が英国内で広がりました。

リチャード・ウィルソンのような画家たちは,クロード・ロランの作風を自国の風景に替えて描き人気を高め,一方に,オランダ絵画の影響を受けたゲインズボロは,自然に沿った風景を好んで描き,後の英国における自然主義の特質を開花させることとなります。19世紀の英国風景画にとっては,何といっても大きな要素はターナーとコンスタブルの二人でしょう。グランド・ツアーによる旅行熱は英国の画家にとって,イタリアのみならずヨーロッパ各地へ,またウェールズ,スコットランドなどの自国内の探索を盛んにしました。ターナーはクロード・ロランの構成や光をスイスのアルプスに,またウェールズや湖水地方にと発展させ,一方コンスタブルはロンドンとサフォークの自宅周辺の光景を自然に親しみをもって描き続けました。これら二大巨匠の出現は後のフランスにおける印象主義の展開へとつながることとなります。

20世紀に入り世界的な芸術活動の多様化にともない,英国の風景画も伝統の束縛から解かれ,さまざまな広がりをみせています。

本展は,このように多様な展開をみせ,絵画の歴史に大きく貢献した,英国風景画の三世紀に及ぶ流れを系統的に知ることができ,また,作品に描かれている英国各地を画家の目を通して鑑賞できる,まことに興味深い機会であると考えます。

本展の開催にあたり,貴重な作品を出品くださったフィッツウィリアム美術館サイモン・ジャーヴィス館長ならびにエール大学英国美術センター,ダンカン・ロビンソン館長および両館のスタッフ各位,またご後援いただきました外務省,文化庁,ブリティッシュ・カウンシルほか関係者各位に深甚なる謝意を表します。

主催者

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