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ごあいさつ

近代日本における美術批評は、明治時代の森鴎外や岡倉天心らにさかのぼります。しかし、ヨーロッパと比較すると美術批評の歴史は浅く、美術批評史も確立されていません。戦前にも美術関係諸雑誌を中心に画家や美学・美術史研究家による注目すべき美術批評がありましたが、戦後は展覧会やジャーナリズムの盛行、作家達の多種多彩な造型活動に呼応して活発な美術批評が行われるようになりました。そうした、戦後日本を代表する美術批評家の一人に、土方定一(1904−1980)がいます。

土方定一は、美学を専攻すると同時に、詩誌『歴程』の創刊に参加した詩人でもあり、青年時代から詩、童話の創作、文学批評を発表していましたが、美学研究から美術批評へと進み、戦後の1951年からながく神奈川県立近代美術館の運営にたずさわっていました。土方は、既に1930年代後半から美術批評を始めていましたが、戦後、特に1940年代後半から50年代・60年代を中心に、様々な新しい造型表現が試みられていた同時代の美術を対象とする美術批評を数多く発表し、また自ら展覧会を企画して戦後美術の流れに積極的に関わりをもちました。

そこで、この展覧会は批評家・土方定一の戦後美術批評に焦点を当て、土方の批評の対象となった作品やその作家を通して、美術批評が作家や美術の展開にどのようにかかわり機能したかを検証し、美術批評の文化史的意義を考察することを目的に、油彩画132点を中心に、版画42点、彫刻18点を加えた192点の作品により、土方定一の美術批評に基づく日本の戦後美術を紹介します。

最後に、展覧会開催にあたりまして貴重な作品をご出品いただきました美術館、ご所蔵家の皆様、ご協力いただきました関係各位にあつくお礼申し上げます。

1992年8月

三重県立美術館長 陰里鐵郎

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