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ごあいさつ

三重県立美術館では、大きな変化が次々に起こった20世紀日本美術の展開を総合的に検証することを目的に、【20世紀日本美術再見】と題した展覧会シリーズを開催してまいりました。このたび、その第3回展を1930年代日本の造形表現に焦点を当てて開催いたします。

1930年代の日本社会は、1929年に始まった世界恐慌の波及による世情不安の中で幕を開けます。また、1931年の満州事変以後、わが国は中国大陸やアジアへの膨張政策を推し進めるとともに、全体主義的な政治体制が一層強化されることになります。

このように、日本の1930年代は経済の逼塞と国粋主義的傾向の強化等によって、政治的・社会的には不安定な時代でしたが、関東大震災の復興がほぼ終了した東京の他、京阪神、名古屋などの都市では、1920年代に引き続いて市民層を担い手とするモダニズム文化が隆盛を見せていました。

この都市の文化は、大小様々な美術団体の活動、美術展の開催、あるいは海外の造形表現に対する敏感な反映といった形で美術界にも現れ、プロレタリア美術、シェルレアリスム、抽象絵画、新興写真等々の新しい表現が生まれることになります。

一方、洋画における「日本化」や日本画における「新古典主義」、建築における「帝冠様式」など、いわゆる「日本的」と称されるものとの関連をうかがわせる造形表現が各分野に見られるのもこの時期のことです。

こうしたモダニズムと「日本的なもの」とが成熟した形で共存し、複雑な様相を示しているのが、1930年代の日本美術の大きな特徴の一つということができます。本展はこうした1930年代の造形表現を、絵画、彫刻、デザイン、工芸、写真、建築など各分野の作品と関係資料によって総合的に検証しようとするものです。

最後に展覧会開催に当たり、貴重な作品・資料を快くご出品いただきましたご所蔵者の皆様をはじめ、協賛をいただきました(財)岡田文化財団、その他ご協力をいただきました関係各位にあつくお礼申し上げます。

   1999年9月

三重県立美術館
中日新聞社

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