このページではjavascriptを使用しています。JavaScriptが無効なため一部の機能が動作しません。
動作させるためにはJavaScriptを有効にしてください。またはブラウザの機能をご利用ください。

ごあいさつ

三重県立美術館では、20世紀日本美術の展開を総合的に検証することを目的に、【20世紀日本美術再見】と題した展覧会シリーズを企画し、その第1回として【20世紀日本美術再見I 1910年代……光り耀く命の流れ】を昨年秋に開催いたしました。このたびの第2回展は、1920年代日本の造形表現に焦点を当てて開催することといたしました。

1910年代後半からわが国では都市化と産業化が急速に進み、20年代に入ると現代日本の原型ともいえる大量生産・大量消費型の社会が生まれ、交通やメディアの発達もあいまって、モダニズムを基調とする大衆文化が流行します。第一次世界大戦が終結した頃からは、民主主義思想が流行する一方で社会主義思想が青年層を中心に広がりを見せ、経済界、産業界の変化に応じて労働運動も盛んになります。

1923年に関東地方を襲った関東大震災は、その後の首都圏における復興計画や全国主要都市での都市計画を生み、結果として人口の都市集中を促してわが国の都市文化に大きな影響を与えたという点で、文化面でも大きな意義を持つものでした。

こうした社会を背景に、20年代には多くの日本人作家がヨーロッパに渡り、同時代の造形表現をわが国に導入します。なかでも、未来派や構成主義などの影響を受けて、都市を舞台に演劇や建築など他の分野とも関連する活動を展開した新興美術運動は、この20年代を強く特徴づけるものでした。

また、一方で西洋の造形思潮を受け入れながら、日本東洋の伝統的な表現様式に再解釈を加えて自己のスタイルを創造しようとする作家たちの活動も見逃すことができません。

さらに、都市化の進展や生活様式の変化を受けて、工芸の分野では新しい表現をめざしたグループが結成され、デザインや建築においても都市と結びついた新しい活動が盛んに行われます。

1920年代日本の造形表現は、こうした様々な作家たちによる変化に富んだ活動が展開されますが、この展覧会は当時の新しい表現の動向に力点を置いて、この時期の造形世界を多角的に検証しようとするものです。

最後に、展覧会開催に当たり、貴重な作品・資料をご出品いただきました美術館をはじめとする所蔵家の方々、調査等にご協力いただきました皆様、ご協賛いただきました(財)岡田文化財団、その他関係各位にあつくお礼申し上げます。

   1996年9月

三重県立美術館

ページのトップへ戻る