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ごあいさつ

あと数年で20世紀が終わろうとしています。20世紀は、西洋東洋を問わず才能豊かな作家たちによる様々な造形表現の試みが行われ、大きな変化が急激に起こった時代といえます。そこで、三重県立美術館では今世紀日本の造形表現の展開を検証する展覧会を計画しました。その第1回として、このたび1910年代の日本美術をテーマとした展覧会を開催いたします。

明治維新以来、富国強兵・殖産興業政策を柱に国家建設を進めてきた日本は、1900年代までに国内的には重化学工業を中心とした産業基盤整備に成功し、また対外的には日露戦争の勝利、日韓併合に示されるように、拡大政策をとって近代国家の基礎を築きました。

しかし、1910年代に入ると、そうした日本の国家主義的な近代化政策への疑問や批判が生まれ、大逆事件や米騒動などのような反体制的事件も起こります。また、東京や京阪神では、都市部への人口集中が起こり、社会構造も変化を見せ始めます。

こうした状況の中、個人尊重、自由平等の精神が説かれ、同時代西洋の新思想が積極的に輸入されて、思想、学術、文学、演劇、音楽、美術などの諸分野で新しい試みが次々と行われるようになります。

美術の世界では、美術雑誌や文芸雑誌が盛んに刊行され、文展に加えて在野の団体や個人作家による展覧会が開催されて、生命感の表出や、芸術と人生の積極的な関わりをめざして、新しい感性による造形表現が絵画、彫刻、版画、写真、工芸、デザインなどの各分野で試みられました。この展覧会は、文展が開催された1907年から日本の社会に大きな影響を与えた関東大震災が起こった1923年頃までの1910年代を中心とした十数年間の美術の新しい動向を、約115作家・団体の作品約460点によってジャンルを越えて総合的に紹介し、当時の造形表現の意義を考察しようとするものです。

最後に、展覧会を開催するに当たり、貴重な作品・資料をご出品いただきました美術館、図書館、所蔵家の方々、調査等にご協力いただきました皆様、ご協賛いただきました(財)岡田文化財団、その他関係各位にあつくお礼申し上げます。

   1995年10月

三重県立美術館
中日新聞社

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