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常設展示2001年度【第1期展示】2001年3月27日-2001年6月24日

第1室:明治・大正の美術

特集展示:長原孝太郎

 長原孝太郎は、岡田三郎助によると「真面目な一面、カリカテュール(風刺的な)の趣味」があり、おもしろい人物であったそうだ。さらに小林萬吾によると、若い頃の長原は「洒落者で紺地の背広にズックの靴を履き、葉巻を銜(くわ)えてステッキを振りながら散歩し」「大に飲んで下宿のお神さんを驚かし」たらしい。一方で、浮世絵や中国の古い人形などの書画骨董を愛し、友人とは美術の話に限らず生物論、天然自然論にまで話が及び、英語も相当達者であったらしく、駿河台成立学舎で教えていたり、攻玉舎中学では生徒に写生や臨画をやらせて、長原は黒板いっぱいに英語で何かを書いていたらしく「まるで英語の先生のよう」だった。

 なんとも捉えにくい人物であるが、多方面に向けられた長原の行動や関心は、美術の分野でも同様であったことが、今回展示している油彩画、水彩、版画、白馬会展ポスターのデザインからも伺える。そしてこれら以外にも長原は、狂画(風刺画)と時様風俗画(現代の風俗画)とを盛り込んだ画集『とばゑ』を明治26年から3回刊行したり、森鴎外や島崎藤村といった日本近代文学を代表する作家の本の装幀・挿絵を描き、晩年近くには日本画に興味をもち屏風仕立ての作品を発表したりもしている。なかでも『とばゑ』(当時は漫画のようなものを「鳥羽絵」とか「ポンチ絵」と呼ばれていた)をはじめとする一連のペン画は、当時から非常に好評を博し、森口多里は「社会批評としての漫画を芸術化した最初の洋画家の一人」と評している。

 ペン画にみられる伸びやかな線と正確な描写、ポスターなどデザインに要求される対象物の抽象化と効果的な配置は、日々の写生、鍛錬がものをいうのはあたりまえだが、こうした習作段階の仕事は展覧会などであまり紹介されることはない。1982年に寄贈を受けた126点の長原作品も、そのほとんどが習作類で、展示空間の制約からごく一部しか紹介してこれなかった。しかし、多くの板絵や《入道雲下絵》などのキャンバス画、それに《牛肉屋の二階》などの水彩画のいくつかをまとめて見ると、こうした習作のなかにも長原の鍛錬を重ねる姿勢、ひいては長原が背負った時代の振幅までもが伝わってきて大変興味深い。

(田中善明)

長原孝太郎についての記事一覧

 
作家名 生没年 作品名 制作年 材質 備考
司馬江漢 (1747-1818)  三囲之景図 1787(天明7)年 銅版彩色・紙  
五姓田芳柳  (1827-1893)  婦人像  不詳  水彩・絹  寄託品
岩橋教章  (1835-1883)  鴨の静物  1875年  紙・水彩  
チャールズ・ワーグマン  (1832-1891)  風景  不詳  油彩・キャンバス  寄託品
五姓田義松  (1855-1915)  狩猟図  不詳  油彩・キャンバス  寄託品
高橋由一  (1828-1894)  光安守道像  不詳  油彩・キャンバス  寄託品
安藤仲太郎 (1861-1912)  梅花静物  1889年  油彩・板  
川村清雄  (1852-1934)  ヴェネツィア風景  1913-34年頃  油彩・紙  井村二郎氏寄贈
浅井忠 (1856-1907)  小丹波村 1893年 油彩・キャンバス  
黒田清輝 (1866-1924) 雪景 1919年 油彩・板  
久米桂一郎 (1866-1934) 秋景下図 1895年 油彩・キャンバス  
岡田三郎助 (1869-1936) 岡部次郎像 1898年 油彩・キャンバス  
満谷国四郎 (1874-1936) 裸婦 1900年 油彩・キャンバス  
中村不折 (1866-1943) 裸婦立像 1903年 油彩・キャンバス  
湯浅一郎 (1868-1931) 茶店 1897年 油彩・板 長原坦氏寄贈
藤島武二 (1867-1943) 浜辺 1898年 油彩・板  
藤島武二 (1867-1943) 裸婦 1906年頃 油彩・キャンバス  
藤島武二 (1867-1943) セーヌ河畔 1906-07年 油彩・キャンバス  
森田恒友 (1881-1933) 山ある村 1917年頃 油彩・キャンバス 寄託品
村山槐多 (1896-1919) 自画像 1916年 油彩・キャンバス  
中村 彝 (1887-1924) 髑髏のある静物 1923年 油彩・板  
萬鐵五郎 (1885-1927) 木の間よりの風景 1918年 油彩・キャンバス  

長原孝太郎 (1864-1930) −長原坦氏寄贈作品

<自画像>1900年 / <柴山景綱肖像>1903年 / <入道雲下絵>1909年頃 / <人の皮>1916年 /

<太閤下絵>1922年頃 / <裸婦>不詳 / <裸婦>不詳 <裸婦>不詳 / <婦人像>不詳 -油彩・キャンバス

 

<店先>1889年 / <牛肉屋の二階>1892年 / <紡糸>1892年 / <雨降り>不詳 / <焼芋屋>不詳 -水彩、インク・紙 

 

<停車場>不詳 / <アヤメを持つ少女>不詳 / <第6回白馬会展ポスター>1901年 / <第9回白馬会展ポスター>1904年 -リトグラフ・紙

 

<花(菊)>1904年 / <寝ている子>1907年頃 / <風景>1908年 / <白百合>1910年 / <風景>1918年 / <西洋人物(模写)>1918年 / <風景>1924年 / <白衣観音>不詳 -油彩・板

 

 

第2室:横山操の「瀟湘八景」

作家名 生没年 作品名 制作年 材質 備考
横山 操 (1920-1973) 瀟湘八景 1963 紙本墨画  
平沙落雁
遠浦帰帆
山市晴嵐
江天暮雪
洞庭秋月
瀟湘夜雨
烟寺晩鐘
漁村夕照
 

第3室:19-20世紀西洋の美術

作家名 生没年 作品名 制作年 材質 備考
バルトロメー・エステバン・ムリーリョ (1617ー1682) アレクサンドリアの聖カタリナ 1645-50 油彩・キャンヴァス  
スルバラン派の画家   聖ロクス 17世紀 油彩・キャンヴァス 有川一三氏寄贈
フランシスコ・デ・ゴヤ (1746-1828) 戦争の惨禍 c.1810-20 銅版画・紙  
オノレ・ドーミエ (1808-1879) 古代史 1841-43 石版画・紙  
シャルル・メリヨン (1821-1868) プチ・ポン 1850 銅版画・紙  
シャルル・メリヨン (1821-1868) ノートル=ダムの給水塔 1852 銅版画・紙  
シャルル・メリヨン (1821-1868) ノートル=ダム橋のアーチ 1853 銅版画・紙  
シャルル・メリヨン (1821-1868) 塔・医学校通り 1861 銅版画・紙  
エドヴァルト・ムンク (1863ー1944) マイアー・グレーフェ・ポートフォリオ 1895 銅版画・紙  
エミール・ノルデ (1867-1956) 肖像(アダ・ノルデ) 1906 銅版画・紙  
エミール・ノルデ (1867-1956) 自画像 1907 銅版画・紙  
エミール・ノルデ (1867-1956) ハンブルク港 1910 銅版画・紙  
エミール・ノルデ (1867-1956) 引き舟 1910 銅版画・紙  
サルバドール・ダリ (1904-1989) パッラーディオのタリア柱廊 1937-38 油彩・キャンヴァス  
ジャコモ・マンズー (1908-1991) ジャコモ・マンズー版画集 1970 銅版画・紙  
ディート・ザイラー (1939- ) 無題 1991 コラージュ・紙 内藤二朗氏寄贈
ホセ・マリア・シンシア (1954- ) 蜜蜂の巣箱 III 1993 蝋、ミクスドメディア  
ラモーン・デ・ソト (1942- ) 通行の階段 1997  
 

ギャラリー

作家名 生没年 作品名 制作年 材質 備考
中原悌二郎 (1888-1921) 石井鶴三氏像 1916 ブロンズ  
中原悌二郎 (1888-1921) 若きカフカス人 1919 ブロンズ  
戸張孤雁 (1882-1927) 虚無 1920 ブロンズ  
石井鶴三 (1887-1973) 1938 ブロンズ  
柳原義達 (1910- ) 赤毛の女 1956 ブロンズ  
柳原義達 (1910- ) バルザックのモデルたりし男 1957 ブロンズ  
木下富雄 (1923- ) Face(白い勲章) 1979 木版画  
恩地孝四郎 (1891-1955) 初期木版画 1914-15(1989年再刷) 木版画  
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