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美術館 > 展覧会のご案内 > 常設展(美術館のコレクション) > 1989 > 常設展示1989年度第3期(1989.9-12)

常設展示1989年度【第3期展示】 1989年9月26日(火)~12月24日(日)

岩橋教章の『鴨の静物』に見られるように、初期の洋画の課題は、西欧の視覚を消化することにあった。それは、主観に対立するところの客体が、主観と同等に実在することの確認であるといえるかもしれない。稚拙さをたたえた模倣にとどまるとしても、そこには、新しいものの見かたから受けたショックを感じさせるだけの熱気が備わっていた。

明治中期の、日本近代洋画に社会的な基盤を与えた浅井忠、黒田清輝らになると、しかし、彼らが範とした、印象派的な様式を取りいれたフランス・サロン絵画の影響もあってか、ある種の主観主義的な傾向が混じりこむことになる。ひとつには、本家の西欧で、客観性を重んじる現実把握がすでに崩壊しつつあったという事情があろうし、また、日本の側では、西欧に対して日本の独自性を保証することが求められていたのであろう。主観主義は、個性の、ひいては、精神性の表現につながるはずだったのだ。しかし、西欧におけるような個我の意識が確立していないところで、主観性を噴出させようととすれは、それはたやすく気分、あるいは全体性に流される危険をはらむ。

大正期の良質な作品が示すように、主観主義は確かに、<青春>とも呼べよう時代の意識に支えられてか、それなりの成果を残すことができた。しかし青春は過ぎ去るものであり、行き着いた先は、いわゆる<戦争画>である。ある意味で、明治の洋画のモデルであった、19世紀のフランス・アカデミスムに最も接近したとも言えよう一写実性とともに、空虚さをも含めて。これは単に、全体への追従といったことにとどまらざ、何よりも日本の近代絵画がはらんできた固有の体質も帰結である。その点で、明治から昭和にいたる洋画の展開を、<戦争画以前>ととらえることができる。


第1室 藤島武二と明治・大正の洋画

作家名 生没年 作品名 制作年 材質
五姓田 芳柳 (1827-1892) 婦人図   絹本著色油     ※
チャールズ・ワーグマン (1832-1891) 風景   油彩・キャンバス  ※
岩橋 教章 (1832-1883) 鴨の静物 1875(明治8) 水彩・紙
山本 芳翠 (1850-1906) 風景   油彩・キャンバス  ※
川村 清雄 (1852-1934) ヴェネツィア風景 c.1880(明治13) 油彩・紙
五姓田 義松 (1855-1915) 狩猟図 1894(明治27) 油彩・キャンバス  ※
浅井  忠 (1856-1907) 小舟波村 1893(明治26) 油彩・キャンバス
長原 孝太郎 (1864-1930) 紡糸 1892(明治25) ペン・紙
長原 孝太郎 (1864-1930) 裸婦(トルソ) c.1910(明治43) 油彩・キャンバス
中村 不折 (1866-1943) 裸婦立像 c.1903(明治36) 油彩・キャンバス
黒田 清輝 (1866-1924) 夏の海   油彩・板
藤島 武二 (1867-1943) 裸婦 1898(明治31) 木炭・紙
藤島 武二 (1867-1943) 裸婦 c.1906(明治39) 油彩・キャンバス
藤島 武二 (1867-1943) ローマ風景 c.1908(明治41) 油彩・板
藤島 武二 (1867-1943) 日の出(伊勢朝熊山よりの眺望) 1930(昭和5) 油彩・キャンバス
岡田 三郎助 (1869-1939) 岡部次郎像 1898(明治31) 油彩・キャンバス
満谷 国太郎 (1874-1936) 裸婦 c.1900(明治33) 油彩・キャンバス
鹿子木 孟郎 (1874-1941) 狐のショールをまとえる婦人 1902(明治35) 油彩・キャンバス
斉藤 豊作 (1880-1950) 風景   油彩・キャンバス
児島 虎次郎 (1881-1929) 河口の町(倉敷風景)   油彩・キャンバス  ※
青木  繁 (1882-1911) 自画像 1905(明治38) 油彩・紙
青木  繁 (1882-1911) 芙蓉図 1905(明治38) 油彩・紙       ※
萬  鐵五郎  (1885-1927) 木の間よりの風景 1918(大正7) 油彩・キャンバス
萬  鐵五郎 (1885-1927) 茅ヶ崎風景 c.1924(大正13) コンテ・紙
清水 登之 (1887-1924) チャプスイ店にて 1921(大正10) 油彩・キャンバス
中村  彝 (1887-1924) 髑髏のある風景 1923(大正12) 油彩・キャンバス
小出 楢重 (1887-1931) 裸女立像 1925(大正14) 油彩・キャンバス
梅原 龍三郎 (1888-1985) 林檎畑ブルターニュ風景   油彩・キャンバス  ※
安井 曾太郎 (1888-1955) 裸婦 c.1910(明治43) 油彩・キャンバス
安井 曾太郎 (1888-1995) 女立象 1924(大正13) 油彩・キャンバス
牧野 虎雄 (1890-1946) 梧桐 1923(大正12) 油彩・キャンバス
岸田 劉生 (1891-1926) 照子素画 1919(大正8) 水彩、木炭、紙
村山 槐多 (1896-1919) 自画像 c.1914-15(大正3-4) 油彩・キャンバス
村山 槐多 (1896-1919) 信州風景(山) 1917(大正6) 木炭・紙
中川 一政 (1893-    ) 目黒風景 1923(大正12) 油彩・キャンバス
前田 寛治    (1896-1930) 風景 c.1924(大正13) 油彩・キャンバス
関根 正二 (1899-1919) 群像 1916(大正5) 木炭・紙
萩原 守衛 (1879-1910) 坑夫 1907(明治40) ブロンズ       ※
戸張 孤雁 (1882-1927) トルソ 1914(大正3) ブロンズ
中原 悌二郎 (1888-1921) 若きカフカス人 1919(大正8) ブロンズ
石井 鶴三 (1887-1973) 中原氏像 1916(大正5) ブロンズ

第2室 曾我蕭白と三重の近世画人たち

作家名 生没年 作品名 制作年 材質
月  僊 (1721-1809) 西王母図 1770(明治7) 絹本著色
月  僊 (1721-1809) 猫図 1791(寛政3) 絹本著色
月  僊 (1721-1809) 蘭亭曲水図 1806(文化3) 絹本著色
池  大雄 (1723-1776) 山水図   紙本淡彩
池  大雄 (1723-1776) 二十四橋図   絖本淡彩
韓  天寿 (1727-1775) 山水図   紙本墨画  ※
曾我 蕭白 (1730-1781) 林和靖図 1760(宝暦10) 紙本墨画
青木 夙夜 (    -1802) 冨嶽図   絹本著色
田中 岷江 (1735-1816) 寒山拾得図   紙本墨画
増山 雪斎 (1754-1819) 花鳥図 1794(寛政6) 絹本淡彩
増山 雪斎 (1754-1819) 百合に猫図   絹本著色

川喜多半泥子の陶芸

作家名 生没年 作品名 制作年 材質
川喜多半泥子 (1878-1963) 唐津風茶碗 銘・薄氷 1941(昭和16) 陶磁器(預かり品)
川喜多半泥子 (1878-1963) 茶碗 銘・ひばり c.1941(昭和16) 陶磁器(預かり品)
川喜多半泥子 (1878-1963) 井戸手茶碗 銘・みぎわ 1941(昭和16) 陶磁器(預かり品)
川喜多半泥子 (1878-1963) 片身変り茶碗 銘・布袋和尚   陶磁器(預かり品)
川喜多半泥子 (1878-1963) 白掛茶碗 銘・たった川   陶磁器(預かり品)
川喜多半泥子 (1878-1963) 刷毛目茶碗 銘・一声   陶磁器(預かり品)

第3室 ヨーロッパ近代の絵画

作家名 生没年 作品名 制作年 材質
オノレ・ドーミエ   古代史   リトグラフ・紙
ロドルフ・ブレスダン   善きサマリア人   リトグラフ・紙
ロドルフ・ブレスダン   鹿のいる聖母子   リトグラフ・紙
カミーユ・ピサロ   農夫モロン親爺   エッチング・紙
カミーユ・ピサロ   鋤で耕す農婦   エッチング・紙
コロード・モネ   ラ・ロシュブロンドの村   油彩・キャンバス
オディロン・ルドン   ヨハネ黙示録   リトグラフ・紙
オディロン・ルドン   アレゴリー   油彩・キャンバス
オーギュスト・ルノワール   青い服を着た若い女   油彩・キャンバス
アレクサンドル・スタンラン   ジル・ブラス紙挿絵   写真凸版・紙
エドヴァルト・ムンク   マイアー・グレーフェ・ポートフォリオ   エッチング、ドライポイント・紙
トゥールーズ=ロートレック   ムーラン=ルージュのイギリス人   リトグラフ・紙
ワシリー・カンディンスキー   小さな世界   リトグラフ・木版・紙
ジョルジュ・ルオー   十字架   油彩・キャンバス   ※
ジョルジュ・ルオー   受難(パッション)   カラーオーフォルト・紙
モーリスド・ウラマンク   風景   油彩・キャンバス   
ジョルジュ・ブラック   葉・色彩・光   リトグラフ・紙
ジョルジュ・ブラック   裸婦   油彩・キャンバス   ※
藤田  嗣治   猫のいる自画像   油彩・キャンバス
藤田  嗣治   婦人像   ペン・紙        ※
マルク・シャガール     油彩・キャンバス
マルク・シャガール   サーカス   リトグラフ・紙
ジョアン・ミロ   アルバム13   リトグラフ・紙
M.C.エッシャー   メタモルフォーシスⅡ   木版・紙
ジャコモ・マンズー   版画集   エッチング、アクアティント・紙
アントワーヌ・ブールデル   ベートーヴェン   ブロンズ        ※
オーギュスト・ロダン   化粧する女   ブロンズ        ※
アリスティード・マイヨール   歩むマリー   ブロンズ        ※

ギャラリー・ロビー

作家名 生没年 作品名 制作年 材質
恩地幸四郎 (1891-1955) 白い花 1941(1987再刷) 木版・紙
恩地幸四郎 (1891-1955) アレゴリーNo.2廃墟 1948(1987再刷) 木版・紙
浅野 弥衛 (1914-    ) 作品 1977 墨・パステル・紙       ※
浅野 弥衛 (1914-    ) 作品A 1981 鉛筆・紙          ※
福井良之助 (1923-1986) スイートピーなど 1959 孔版・紙
福井良之助 (1923-1986) かたつむりと葉 1963 孔版・紙
白髪 一雄 (1924-    ) 黄龍 1965 油彩・キャンバス
加納 光於 (1933-    ) 稲妻捕り 1977 リトグラフ・紙
若林  奮 (1936-    ) ノート鮭の尾鰭 1978 エッチング、ドライポイント・紙
オッシプ・ザッキン (1890-1967) ヴィーナスの誕生 1930 ブロンズ
イサム・ノグチ (1904-    ) スレート 1945
柳原 義達 (1910-    ) 黒人の女 1956 ブロンズ
佐藤 忠良 (1912-    ) 円い椅子 1973 ブロンズ
湯原 和夫 (1930-    ) 無題 1971 真鍮、クロム鍍金
湯原 和夫 (1930-    ) 開かれた形 1975 真鍮、鏡面研磨、塗装真鍮
保田 春彦 (1930-    ) 都市1.試作(1) 1985 鉄・赤錆
保田 春彦 (1930-    ) 都市2.試作(2) 1985 鉄・赤錆
澄川 喜一 (1931-    ) そぎとそり 1975
江口  週 (1932-    ) 漂流と原形 1981
若林  奮 (1936-    ) 中に犬Ⅱ 1968
小清水 漸 (1944-    ) 作業代 水鏡 1981 シナ合板、ウレタン塗装
吉村 寿夫 (1948-    ) 気(えん) 1984 アルミヒドロ合金

屋外彫刻

作家名 生没年 作品名 制作年 材質
ジャコモー・マンズ (1908-   ) ジュリアとミレトの乗った大きな一輪車 1973 ブロンズ
湯原 和夫 (1930-   ) 無題 1982 鉄、ステンレス
井上 武吉 (1930-   ) my sky hole 82 1982 鉄、ステンレス
井上 武吉 (1930-   ) my sky hole 85-6 1985
田畑  進 (1944-   ) NOKOSARETA―KATACHI 1982 ステンレス、黒御影石
梶    滋 (1951-   ) 円柱とその周辺 1986 アルミニウム
八ツ木 のぶ (1946-   ) 象と人(異邦の夢) 1988 ステンレス、ウレタン彩色

※印 寄託作品

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