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トリック・アートの世界展

2010年2月20日(土)〜4月11日(日)

  −はるか昔のこと。ある娘が旅立つ恋人の姿をせめて留めようと、壁に映る影の輪郭をなぞったことから、絵画の歴史が始まった。−

 

絵画の起源として語り継がれてきたこの説話は、ロマンチックな面も持ちますが、一方で芸術とは不在の代償にすぎないと説いているかのようです。しかし、絵画や彫刻が実在のものの代替物であるからこそ、古今東西の芸術家たちはより自由に創作を成し得たのかもしれません。人間の視覚へ挑戦する姿勢は現代にも引き継がれ、見る者の視点を意識した多彩でユニークな仕掛けを表現方法に取り込んでいます。

 

影だけがキャンバス上に取り残されたかのような高松次郎の作品(図1)。かつて人やものが存在していたことを感じさせる反面、もはやそこには何も存在しないという虚無感が漂います。影のみを描くことによって、実在の世界の不確かさを表現したシリーズです。

 

高松次郎の「影」とは反対に、名和晃平の作品(図2)は実物が目の前にあるにも関わらず、見る角度や距離によって姿を消したり二重に見えたりします。アクリルケースに収められた「もの」は、作者がネットオークションで入手したものです。モニター上に映された虚像の「もの」は作者の手元に届けられ実像となり、再び箱の中で虚像へと戻されます。

 

たまごが割れ落ちるさまを克明に描いた上田薫の作品(図3)は、実際にたまごが割れる瞬間を写真撮影し、スライドをキャンバスに透写して像をなぞるようにして描いています。肉眼では捉えることのできない風景がキャンバス上にひろがります。

 

西洋の古典絵画の世界に入り込んでしまったような福田美蘭の作品(図4)。レオナルド・ダ・ヴィンチやベラスケスの作品をモチーフにしたシリーズは、画中の人物が見ているであろう光景を想像し、それぞれの画家のタッチを模して描かれています。単に名画のパロディとしてではなく、固定観念から解放し、見る者に新たな視点を提示する意図も持っています。

 

今回の展覧会では、視覚と固定化されたイメージに揺さぶりをかける作品を「トリック・アート」としてご紹介します。26人の作家が仕掛けるさまざまなトリックを通して、新たな視覚体験の旅へと皆様をご案内いたします。(Hm)

 

 

 
  1. 高松次郎《影 No.294》 1970年 高松市美術館 Yasuko Takamatsu courtesy of Yumiko Chiba Associates
  2. 名和晃平《PixCell [Shoe #6(L) ] 》 2006年 高松市美術館
  3. 上田薫《なま玉子J》 1978年 高松市美術館
  4. 福田美蘭《侍女ドーニャ・マリア・アウグスティーナから見た王女マルガリータ、ドーニャ・イサベル・ベラスコ、矮人マリア・バルボラ、矮人ニコラシート・ペルトゥサートと犬》 1992年 高松市美術館

 

 

 

トリック・アートの世界(2010年)

1.高松次郎《影 No.294》 1970年 高松市美術館

 

1

 

 

 

2.名和晃平《PixCell [Shoe #6(L) ] 》 2006年 高松市美術館

 

2

 

 

 

3.上田薫《なま玉子J》 1978年 高松市美術館

 

3

 

 

 

4.福田美蘭《侍女ドーニャ・マリア・アウグスティーナから見た王女マルガリータ、ドーニャ・イサベル・ベラスコ、矮人マリア・バルボラ、矮人ニコラシート・ペルトゥサートと犬》 

 

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