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美術館 > 刊行物 > HILL WIND > Hill Wind (vol.11~24) > 大橋歩展の楽しみ方 美術館ニュース Hill Wind 24(2010年2月)

参加する、体感する、経験する 大橋歩展の楽しみ方

イラストレーター大橋歩さんの、47年にわたる活動の軌跡を辿った「大橋歩展」は、12月6日無事終えることが出来ました。イラストレーターとしてだけでなく、エッセイスト、デザイナー、現代美術家と、様々な顔を持つ大橋さんの展覧会らしく、会期中は多彩な催しが行われました。

 

オープニングのお祝いに駆けつけてくれたのは、「旅する本屋 COWBOOKS」の白いトラックでした。2日間限定で開かれた移動書店には、世代や性別を超えて多くの方々が足を止め、思い思いに背表紙に目を走らせたり、大切にページを繰る姿が印象的でした。

 

中盤には、和太鼓奏者林英哲さんと風雲の会のメンバーによるミュージアム・コンサートが開かれました。コンサートは3部構成で、始めに大橋さんと林さんによるトーク、続いて太鼓の歴史についての実演を交えたレクチュア、そして最後は圧巻の大太鼓の演奏となります。エントランスホールを埋め尽くした300名近くの聴衆のみなさんは、体の芯までふるわせる鼓動に、「ライブ」の持つ圧倒的な力を胸に刻まれたに違いありません。

 

そして締めくくりはアーティスト・トークです。お相手の糸井重里さんとは、共にそれぞれのHPで何度もコラボレーションをされている間柄です。そんな二人のお話を間近で聞けるとあって、定員150名を大幅に越える1,700名近くの申し込みがありました。当日は会場の講堂以外にも、エントランスホールに設置された2台の中継モニターを囲んで沢山の人だかりができ、互いに尊敬し合うお二人の、自由で、そして時に深い話に耳を傾けていました。

 

この3つの催し、実は共通点が一つあります。それは、いずれも大橋さんが発行する季刊誌「アルネ」の特集を飾ったということです。それぞれのイベントに足を運ばれた方々は、まるで自分は「アルネ」の誌面に入り込んだかのような錯覚を覚えられたに違いありません。見るだけでなく参加する。詠むだけでなく経験する。その場に足を運び体で感じること。そこからきっと新たな世界が生まれることを、この展覧会は教えてくれたような気がします。(Iy)

 

大橋歩展(2009年)





 
※この記事は2010年2月9日発行「Hill Wind 24」に掲載されたものです。
 
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