2009年春、写真家の中里さんを講師に迎え、学校の先生方を対象に《美術館周辺の写真を撮るワークショップ》を行いました。「この楽しかった体験を子どもたちにも味わってもらいたい」という先生方の思いによって小・中学校4校でのデジタルカメラを使ったワークショップが実現しました。 子どもたちは中里さんから「カメラを持つと知らない景色に出会える。知っていた風景もおもしろい景色に変わる」というお話を聞いた後、1人1台デジタルカメラを首からさげて中里さんと一緒に校区の風景を撮影して歩きました。最初は緊張していた子どもたちも次第に楽しくなり時間を忘れるほど写真を撮ることに夢中になっていきました。子どもたちが撮った写真は心が写し出されたかのように素直で温かく、独創的な風景の捉え方に目を見張るものがありました。 子どもたち一人ひとりの写真を丁寧に《計17,000カット以上》見ていく中里さんの脳裏には子どもたちの撮った写真の魅力、写真で表現することの楽しさを伝えるにはどのような展示が良いのか、展示のイメージが大きく膨らんでいきました。その思いに共感し協力してくださったアーティストとボランティアの方々とともに造りあげた会場には小さな小屋が建ち並んだ架空の町が生まれたのです。その空間で子どもたちの写真を見ているとまるでその町の中に自分が立っているような空気を感じるから不思議です。 子どもたちのエネルギーを引き出すきっかけをつくるのは大人の役割であり、大人は子どもたちの持つ力によって「異なる視点」に気付き、そして子どもと共に成長していくのだということを、「子どもアートinみえ」は改めて考える機会となりました。(Ir) |