さて、ここでは趣向を一寸変えて、この展覧会の舞台裏にスポットを当ててみましょう。 アートの作品 大橋さんにとって、「アート」の作品はとても重要な位置を占めています。毎日の暮らしの中で、その時々に感じたこと、ひっかかることを、言葉ではなく形で提示してきました。時に従来の「大橋歩」像から大きくはみ出すものさえあり、様々な反響を呼びましたが、大橋さんはむしろそれもコミュニケーションの一つとして楽しんでいるかのようです。 今回の展覧会のために制作された作品は、一〇メートル四方の展示室をも圧倒するほどの巨大な作品です。そんなとてつもない計画をサポートしたのが、美術館ボランティア「欅の会」の皆さんです。裁縫の上手な人、綿つめに力を振るう人、それぞれが得意分野をうまく出し合って、みるみるうちに作品はできあがってきました。 一足先の展示作業 展覧会にカタログはつきものですが、一つだけ問題がありました。オープニングに会わせてカタログを作ると、実際の展示風景を載せることができない、ということです。 しかし、今回は特別に企画展のスケジュールの谷間を利用して、ウルトラCが実現しました。九月の始め、「大橋歩展」が始まる一ヶ月半前に、新作のインスタレーションを展示し、撮影を行いました。図面や模型の上で考えていたものと全く異なり、高い壁と広い床の広がる展示室に置かれたアートの作品は、想像以上の迫力で迫ってきました。一方では、照明やハイチの微調整など課題も見つかりましたが、本番に向けてそれらを一つ一つ解消していくのも、残された時間の楽しみと言えるでしょう。 みてからくるか、きてからみるか より多くの方に、より深く楽しんでもらうために、展示、カタログと様々なアイデアを出しあって作り上げた展覧会。実は、大橋さんからさらに大きなプレゼントが用意されていました。 三重県出身の大橋さんが、三重県立美術館で展覧会をする。このことを記念して、別冊『アルネ』最新号はなんと三重県の特集です。北は桑名から南は松阪まで、大橋さんが実際に目にし、触れ、味わった場所やものがぎっしりと詰まっています。もちろん、三重県で活躍する魅力的な人たちについても紹介しています。「見てから来るか、来てから見るか」三重県を、そして展覧会を味わい尽くすためにも、この号は見逃せません。(Iy)
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