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美術館 > 刊行物 > HILL WIND > Hill Wind (vol.11~24) > 特集展示 石井厚生 美術館ニュース Hill Wind 23(2009年10月)

特集展示 石井厚生

柳原義達記念館を主会場に、彫刻家 石井厚生さんの作品を紹介する展覧会を開催することになりました。石井さんは、一九四〇年千葉県の出身。多摩美術大学で建畠覚造(一九一九-二〇〇六)の薫陶を受けて、一九六〇年代から本格的な作品発表を始めました。

 

今回の展示作品は、レンガを素材とした近作-レンガ彫刻です。レンガは日本では明治時代以降に建築材料として使われてきましたが、そのレンガを彫刻に用いたのが石井さんの作品です。

その制作法も独特です。先ず作品の大きさにあわせてレンガをモルタルで接着しながら積み重ねて、大きなレンガの塊をつくります。次に、この塊を加工して様々な形をつくっていきます。レンガの塊が、石材や木材と同じように作家の手で加工されて彫刻に変身するというわけです。

 

レンガ彫刻では、レンガの赤茶色とモルタルの灰白色とが作品の表面に現れます。しかし、作品の形態やレンガ取りの方向によって、時には作家が予想もしなかった文様が生まれることがあります。こうした石井さんの彫刻は、空間や構造など三次元的な問題ととおに、表面の質感、彫刻と色彩の問題なども私たちに提起しています。

ところで、使用されているモルタルには繊維状のものが混っています。これは、イギリスの美術批評家ハーバート・リード(一八九三-一九六八)の名著『近代彫刻史』を繊維状にしたものですが、ここには彫刻芸術の根源を追究しようとするこの作家の強い意志を見て取ることができるでしょう。(Mi)



 

石井厚生レンガ彫刻展-西風と東風のまにまに-

※この記事は2009年10月24日発行「Hill Wind 23」に掲載されたものです。
 
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