2009年9月5日(土)~10月12日(月) 展覧会の面白さはたくさんありますが、様々な作品が一堂に会した空間に身を置くことではじめて見えてくるものがあることもその一つです。 今年度最初の企画展であった元永定正展でも、このことを強く感じました。元永さんの大きな絵画をなるべく多く、かつ「水」や「石」、「色玉」など元永さん独自の立体作品によるインスタレーションも紹介したいと考え、この展覧会は七つの展示室に加えて、エントランスホール、中庭も使った大規模なものになりました。 これだけ多くの元永作品を日々見ていますと、色々なことに気づかされました。しかし、特に強く感じましたのは、「この作家は、最初から今まで常に変わることなく元永定正だったし、これからも元永定正であり続けるにちがいない」ということでした。 「時期によって作風は変化しているじゃないか」といわれるかもしれません。確かに、元永さんは年代によって、技法や画材、スタイルを変化させてきました。しかし、制作に対する元永さんの姿勢、造形の基礎である線、色彩、かたち等に対する元永さんの感覚は半世紀以上の間、大きく変化していないと思いました。 元永さんは、時代によって作品の視覚的な効果は変えながらも、その根幹部分を変えることはなかったといえるのではないでしょうか。作品の内面を見ること、作品を通して作者のありようを考えることの大切さを改めて教えられた展覧会でした。(Mi)
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