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美術館 > 刊行物 > HILL WIND > Hill Wind (vol.11~24) > 椿書院障壁画 美術館ニュース Hill Wind 18(2008年3月)

椿書院障壁画

金刀比羅宮は、草創から今日まで長い時の流れの中で多様な姿を見せてきました。この絶えず変化し続ける金刀比羅宮の在りようは、現代もかわりません。そのことを最も端的に示しているのが、2001年から行われてきた「琴平山再生計画」です。

 

この計画に基づき、社務所や参集所など伝統的な社寺建築と現代建築とが融合した新しい施設がつくられた他、山内の整備が行われました。「琴平山再生計画」では、愛媛県出身の美術家・田窪恭治(1949- )がその中心的役割を担い、田窪自身も山内の白書院(椿書院)や新茶所(神椿)に自らの新作を設置しています。

 

そうした田窪作品の中から、パステルで描かれた白書院(椿書院)障壁画や有田焼の磁器による新茶所(神椿)陶壁の習作が今回の展覧会には出品されます。田窪は1970年代にパフォーマンスやオブジェなどの実験的な作品で作家活動を開始しました。1980年代になると田窪は木や金箔を素材とした立体作品を発表しましたが、彼の名を広く知らしめたのは1990年代に行ったフランスのノルマンディーで廃墟と化していたサン・ヴィゴール・ド・ミュー礼拝堂の再生プロジェクトでした。

 

フランスと日本、キリスト教と神道、その世界は大きく異なります。しかし、田窪は自身の作品によって、人々の信仰と関わる古い施設に新しい生命を吹き込んできました。田窪の作品を通じて、私たちは芸術が本来持っている大きな力を感じ取ることができるのではないでしょうか。(Mi)

※この記事は2008年3月15日発行「Hill Wind 18」に掲載されたものです。
 
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