スポーツをする上で準備体操は欠かすことができません。それは筋肉を解きほぐし、眠った体を温め、怪我の防止にも一役買ってくれています。作品鑑賞をする前にだって、実は準備体操が必要なのかもしれません。ましてや、絵を見ることに慣れていない子どもたちにとっては、絵を見る準備体操をすることこそが、まず美術館で体験すべき「何か」なのではないでしょうか。 この夏休み、子どもたちと一緒に行った鑑賞準備体操のひとつ、当館が学校団体に貸し出しを行っている美術鑑賞支援教材「アートカードみえ」を使ったプログラムをここで紹介しましょう。 所蔵作品を絵葉書大のサイズにしたカードを机の上いっぱいに広げ、まずは「アートカルタ ※1」で軽くストレッチをします。絵の中に何が描かれているのかを最初から考えるのは大変なので、まずは読み札に取り上げられているのはどの絵のことなのかを考えながら、64枚あるカードの中から探しだします。 絵を見ることに慣れたあとは「アート流れ星 ※2」をして、絵の細部まで目を凝らして見てみましょう。先ほどのゲームで体の温まった子どもたちは、思いのほか短い時間で絵を探していくではありませんか。細部に描かれているものまでしっかり探し出すことができるようになったら、絵に描かれている題材がもっと感じやすくなるのではないでしょうか。 何気なく見てしまっている作品を、いかに楽しんで、そして自分らしく見ていくためには、少し準備が必要です。準備をしないまま見ることなんてできないのだから、まずは自分のわかる範囲で話を考えたり、部分を注目したりしながらゆっくりストレッチをして準備をしていきましょう。そうすることで心も体も開放されて、もっと作品と話ができるかもしれません。子どもたちは早くそれができるようですが、実際、大人のほうはどうなのでしょうね。 (Nk) |
※1 アートカルタ・・・読み札の文章にあう絵札を探すアートゲーム ※2 アート流れ星・・・絵の一部分を見せて、元の絵を探すアートゲーム |