展覧会に無くてはならぬものが照明です。光の質と量、作品と光の角度等いくつかの要素がありますが、これらをどのようにコントロールするかによって展覧会場の雰囲気と作品の印象は大きく変わります。展覧会を活かすも殺すも照明次第です。照度の設定を誤れば、褪色などのダメージを作品に与える恐れもあります。また、来館者の方々から暗くて作品が鑑賞できない、ライトが反射してまぶしいという苦情をいただくこともありますので、展示作業の最後で学芸員は照明のセッティングにいつも苦労することになります。 日本の美術館では、展示室の照明はかつては蛍光灯が主流でした。しかし、ここ10年ほどの間に美術館の照明は大きく様変わりしました。近年はハロゲンランプのスポットライトが照明の主役です。最近は自然光線と人工照明を組合せてコンピューターによって常に一定の明るさを維持するとともに、様々な演出的照明を行う技術も開発されています。 三重県立美術館には、1982年の開館時に設置された蛍光灯、10年近く前から導入されているドイツ製スポットライト、柳原義達記念館のコンピューター管理の照明設備という、新旧三世代の照明設備があります。 展示作品による向き不向き、見る側の好みもありますので、どれがベストとは単純には決め難いのですが、どの照明設備も重要な役割をになって寡黙に働きつづけています。 (Mi) |
ライティング風景
照明制御盤 |